「手術室看護師って、1日どんな流れで動いているんだろう?」
「器械出しと外回り、何が違うのかよくわからない…」
「新人で手術室配属になった。忙しさやプレッシャーが正直怖い…」
タイムスケジュール・器械出し/外回りの役割・新人が押さえておきたいポイント——
この3つを、現役オペ看目線でリアルに解説します。
看護師正直、オペ室ってピリピリしていて怖い場所ってイメージしかなくて…。



そのイメージ、すごくわかります。でも実際はチームで声を掛け合いながら動く「協力プレー」の現場。
1日の流れをつかむだけで、怖さはかなり変わりますよ。
- 手術室看護師の1日のタイムスケジュール(時間軸で整理)
- 器械出し・外回りそれぞれの役割と動きの違い
- 朝の準備から退勤までの具体的な仕事内容
- 新人・異動者がつまずきやすい場面と乗り越え方
手術室看護師の1日スケジュール|7:30〜18:00のリアルな流れ


「細かい仕事内容を読む前に、1日の流れを頭に入れておきたい」——その通り。まず全体像から入ります。
| 時間帯 | 流れの一例 |
|---|---|
| 8:15 | 出勤・更衣・情報収集(当日の術式・担当確認) |
| 8:30 | 器械準備・部屋セット・物品チェック |
| 9:00 | 1件目 手術開始(器械出し or 外回り) |
| 11:00 | 1件目終了・片付け・記録・申し送り |
| 11:30 | 2件目 患者受け入れ・タイムアウト |
| 12:00 | 2件目 手術開始 / 交代で昼休憩 |
| 15:00 | 2件目終了・片付け・記録 |
| 15:30 | 3件目 準備・急患の有無を確認 |
| 16:00 | 3件目 手術開始(短時間) |
| 17:00 | 3件目終了・翌日の準備・終礼 |
| 17:30 | 業務終了(オンコール当番はそのまま待機へ) |
これはあくまで「日勤で予定手術3件」という一例です。
実際には症例が詰まる日・急患が入る日・手術が長引く日など、予定どおりに進まないことはザラにあります。
大きな流れは「準備 → 手術対応 → 片付け → 翌日の準備」——この4サイクルが、手術室の1日の骨格です。
病院によって違う「働き方のパターン」
手術室の働き方は、病院の規模や手術件数によって変わります。
- 日勤のみ:予定手術中心のクリニックや中規模病院
- 日勤+オンコール:緊急手術も受ける急性期病院(最も一般的)
- 交代勤務+オンコール:救急対応・大規模ハイボリュームセンター
この記事では「日勤・予定手術」をベースに解説します。
オンコール・夜勤についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
手術室看護師の2つの役割——器械出しと外回り


「器械出しと外回り、どっちも手術室看護師なのに何が違うの?」
——この疑問、手術室に来た人の9割は最初に思います。
手術室では、1つの手術に対して最低でも2名の看護師がつきます。
それが器械出し(スクラブナース)と外回り(循環ナース)です。
| 器械出し(スクラブナース) | 外回り(循環ナース) | |
|---|---|---|
| 立ち位置 | 清潔野の中(術野のそば) | 清潔野の外(手術室全体) |
| 清潔区域 | 清潔(ガウン・手袋着用) | 不潔域(清潔野に触れない) |
| 主な動き | 器械を渡す・カウント管理 | 物品調達・記録・連絡調整 |
| 求められる力 | 集中力・先読み・正確さ | 観察力・マルチタスク・判断力 |
| 動き方のスタイル | 定位置で深く集中する型 | 手術室全体を広く動き回る型 |
器械出し看護師の役割【清潔野で医師をサポート】
器械出し看護師は、清潔野の中で医師と一緒に手術を進めるポジションです。
- 清潔操作でガウン・手袋を装着し、清潔野を維持する
- 器械台を整え、メス・鉗子・縫合糸などを術式に合わせて準備
- 医師の手の動きを先読みしながら、必要な器械をテンポよく手渡し
- ガーゼ・針・メス刃などのカウント(開始・途中・終了時)
最初のうちは「次に何が来るのかさっぱりわからない」「器械の名前が頭から飛ぶ」となるのが普通です。
同じ術式を繰り返し経験するうちに、少しずつ流れが見えてきます。



器械が多すぎて、名前もタイミングも全然覚えられる気がしない…。



最初から全部覚えようとしなくて大丈夫。「この術式だけは得意」と言えるものを1つ作るところから始めましょう。
外回り看護師の役割【手術全体の”縁の下の力持ち”】
外回り看護師(循環ナース)は、清潔野の外側から手術全体を管理・支援するポジションです。
患者安全の確保・物品調達・記録・連絡調整など、手術室の「外側」で起きるすべての判断と対応を担います。
器械出しが「清潔野の中で医師と一体になって動く集中型」であるのに対し、
外回りは「手術室全体を俯瞰して動くマルチタスク型」です。
どちらが大変かではなく、求められる思考スタイルがまったく異なります。
朝の準備〜最初の患者受け入れまで


「手術が始まるまでに、こんなに準備があるとは思っていなかった」——これは新人オペ看のほぼ全員が言う言葉です。
情報収集・担当確認(出勤〜8:30)
出勤したらまず、その日担当する手術の情報を収集します。
- 患者情報(年齢・既往歴・アレルギー・内服薬)
- 手術名・部位・麻酔方法・麻酔科医の計画
- 特殊器械・インプラント・血液製剤の必要性
- 自分の担当(器械出し or 外回り)
前日に手術予定が確定していれば、前日のうちに下調べをしておく——それが手術室の当たり前のスタンスです。
「初めて入る術式」のときほど、事前の予習が当日の余裕に直結します。
器械準備・部屋セット(8:30〜9:00)
情報収集が終わったら、担当する手術室の準備を始めます。
- 器械台の設置・滅菌済み器械のセット
- 消耗品(ガーゼ・縫合糸・針・カテーテルなど)の確認
- 手術台の高さ・体位固定具の準備
- 電気メス・吸引・照明などの機器動作確認
この準備の精度が、手術の安全とスムーズな進行に直結します。
「あのとき確認しておけばよかった」をなくすには、チェックリストと確認手順の習慣化が一番の近道です。
朝カンファレンス・申し送り
手術開始前に、チーム全員で当日の確認を共有します。
- 当日の手術件数・予定順・各部屋の担当割り当て
- 特殊対応が必要な症例の共有(感染対策・インプラント発注など)
- 急患の可能性・スタンバイ体制の確認
患者受け入れ〜タイムアウト(安全確認)
患者さんが病棟から手術室に到着したら、外回り看護師が中心となって受け入れます。
- 患者確認(氏名・生年月日・手術部位・同意書の確認)
- 点滴・モニター装着・体位固定
- 麻酔科医への引き継ぎ・麻酔導入のサポート
麻酔が入ったら、執刀前にタイムアウト(安全確認)を行います。
- 患者氏名・手術名・部位・左右を全員で声出し確認
- 必要なインプラント・血液製剤の有無
- 担当医・麻酔科医・看護師が全員で確認
タイムアウトは「思い込みやうっかりを防ぐ最後の砦」。
形式的に流さず、全員が実際に声を出して確認する——それがタイムアウトの本質です。



受け入れのとき、患者さんがすごく緊張しているのが伝わってきて…。
何か声をかけたほうがいいのかわからなくて。



「よく来てくださいました。ここからは私たちが責任をもって担当します」——その一言だけで、患者さんの表情が変わることがあります。
手術室での短い時間でも、看護師のひとことは患者さんの緊張をほぐす力があります。
手術中の動き——器械出しと外回りの実際


「オペ室看護師=器械を渡す人」というイメージを持たれがちですが、実際はもっと奥深い仕事です。
器械出し看護師の手術中の動き
執刀が始まると、器械出しは医師の手の動きを先読みしながらリズムよく器械を渡し続けることが求められます。
- 術式の進行ステップを把握しながら、次に必要な器械を準備
- 医師から「〇〇」と言われる前に手渡せるよう先読み
- ガーゼ・針・メス刃のカウントを正確に管理(遺残防止)
- 清潔野を常に維持(不潔操作が入らないよう注意)
慣れていないうちは「次に何が来るかわからない」状態が続きますが、
同じ術式を繰り返すことで少しずつ「見える化」されていきます。
焦りは禁物。1件ずつの経験が、確実に力になります。
外回り看護師の手術中の動き
外回りは手術の進行フェーズに合わせて、「今この手術室に何が足りないか」を先読みしながら動き続けます。
- 【開始直後】タイムアウト(患者・部位・術式の声出し確認)の実施、電気メスアース装着、手術記録の入力開始
- 【手術中盤】追加物品・薬剤の迅速な準備とWチェック、検体受け取り〜ラベル貼付・病理提出準備
- 【終盤〜閉創】家族への手術中間報告、病棟・ICUへの移送連絡・ベッド確保依頼、申し送り内容の整理
術式の流れを理解していないと、次のフェーズで何が必要になるかが読めないのが外回りの難しさです。
新人が器械出しからスタートすることが多いのは、そのためでもあります。
急変・トラブル時の対応
手術中は、想定より出血が多くなったり、循環動態が不安定になることもあります。
- 追加輸血・輸液の準備とダブルチェック
- 止血材・追加器械の迅速な手配
- 応援スタッフを呼ぶ
- ICUや病棟への連絡調整



急変が起きたとき「どうしよう」ってパニックになってしまって…。
先輩みたいにテキパキ動けなくて情けなくなります。



急変でパニックにならない人なんていません。
大切なのは「自分がまずやること」を1つ決めること。
手術終了〜退勤まで——片付けと翌日への引き継ぎ


「手術が終わったら終わり」ではありません。片付け・申し送り・翌日の準備——ここまでが手術室看護師の仕事です。
患者退室・病棟・ICUへの申し送り
手術が終了したら、患者さんの状態を確認しながら退室の準備を進めます。
- ドレーン・カテーテル類の確認・固定
- 病棟またはICUへの申し送り(術式・麻酔内容・術中の特記事項)
- 家族への手術終了報告(外回り看護師 or 担当医から)
器械・物品の片付けと翌日の準備
患者さんが退室したら、次の手術または翌日に向けて片付けと準備を行います。
- 使用した器械を滅菌部門へ返却
- 手術室の清掃・消毒
- 翌日1件目の器械セットの事前確認
- 消耗品・在庫の補充
翌朝の準備をここで丁寧にやっておくかどうか——それが翌朝の余裕を決めます。
ベテランほどこの「仕込み」を大切にしています。
終礼と残業になりやすい日のパターン
病院によっては、終業前に簡単な終礼や振り返りを行います。
- その日のインシデント・ヒヤリハットの共有
- 新しい術式・機器のレクチャー
- 新人・若手の「気になったこと」のフォロー
残業になりやすいのは、手術が長引く日・急患が入る日・片付けと次の準備が連続する日。
特に午後から連鎖すると休憩が取りにくくなることもあります。
リーダー看護師が応援の配置を調整しながら全体を回していきます。



残業が続くとほんとうにしんどくて…。
このまま手術室を続けていけるか、不安になることがあります。



その気持ち、手術室あるあるです。
「毎日必ず残業」というわけではなく、症例の組み合わせ次第で定時に終わる日もあります。
新人・異動者が最初に知っておきたいこと


「手術室って、病棟と何もかも違う。最初は右も左もわからなかった」
——これは新人オペ看のほぼ全員が経験することです。
手術室1年目の成長ステップ
| 期間 | できるようになること | よくある悩み |
|---|---|---|
| 〜1か月 | 清潔操作・手術室のルール・基本器械の名前を覚える | 「何もわからない」「先輩の言葉が速くてついていけない」 |
| 〜3か月 | よく使う器械を準備できる・指示を理解して動ける | 「次に何が来るか、まだ読めない」 |
| 〜6か月 | 基本的な術式(虫垂炎・ヘルニアなど)で器械出しができる | 「術式が増えるほど覚えることも増える…」 |
| 〜1年 | 外回りも経験・基本術式は一通り対応できる | 「1年経ってもまだ自信が持てない」 |
| 2年目〜 | 術式を増やしながら後輩のフォローへ | 「自分が教える立場になる不安」 |
「1年たっても全然できない気がする…」という感覚は多くの新人が経験しますが、
それだけ手術室の学びが深いということでもあります。
焦らなくていい。1つずつ積み上げれば、必ず全体が見えてきます。
つまずきやすい場面と乗り越え方
- 器械の名前が覚えられない → まず「よく使う10本」だけ完璧にする
- 術式の流れがわからない → 同じ術式を3回見れば流れが入り始める
- 先輩のペースについていけない → 「聞く」より「準備で補う」意識を持つ
- 急変でパニックになる → 「自分がまずやること1つ」を事前に決めておく



1年たってもまだ自信が持てなくて…。私、向いていないのかなって思うことがあります。



1年で「自信がある」になれる人のほうが少ないんですよ。手術室は覚えることが多い分、2年・3年と続けた人が一番力がつく現場です。
手術室が自分に向いているかどうか気になる方は、チェックリストで確認してみてください。
術式の覚え方・勉強法
術式の覚え方で効果的なのは、「1術式・1ノート」を作ることです。
- 使う器械を一覧化する(名前・用途・渡すタイミング)
- 手術のステップを簡単な図で整理する
- 「気づいたこと・失敗したこと」を手術後に書き足す
手術前の「予習5分」と、手術後の「振り返り5分」。
この習慣が1年後の大きな差になります。
術式の勉強法については、術式予習ガイド(保存版)もあわせてどうぞ。
よくある質問


まとめ|手術室看護師の1日は「準備・集中・引き継ぎ」の積み重ね


- 朝は準備勝負:情報収集・器械セット・カンファレンスで手術をスムーズに始める
- 手術中は役割に集中:器械出しは先読みと清潔野の維持、外回りは全体の交通整理
- 終業前は翌日への仕込み:丁寧な片付けと準備が翌朝の余裕をつくる
最初は「覚えることが多すぎる」と感じるのが普通です。
でも、同じ術式を積み重ねるたびに「見える」ことが増え、気づけば余裕が生まれています。
手術室の仕事は、患者さんの命と向き合い続ける場所。
その重さを知っているからこそ、チームで声を掛け合い、準備を怠らず、1件ずつ丁寧に向き合うことができます。
「手術室に初めて配属になった」「手術室への転職を検討中」という方へ。
1日の流れをイメージできた状態で現場に入る——それだけで最初の壁は確実に低くなります。
手術室の専門求人は数が限られます。まず選択肢を確認しておきましょう。
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