「またきつい言い方をしてしまった…」
「今日は家に帰ってからもずっとイライラしてる」
そんな自分に、がっかりしていませんか?
忙しすぎる病棟・オペ室・外来で働いていると、丁寧に対応したい気持ちがあっても、
医師・先輩・患者さん・ご家族…いろんな方向からのプレッシャーで、心の余裕が一気になくなることがあります。
この記事では、
- 「看護師のイライラ・怒り」は性格の問題ではなく【疲労とストレスのサイン】であること
- 勤務中にすぐ使える「イライラ爆発回避テク」
- 口調を柔らかくする“そのまま使える定型文”
- 帰宅後の自己嫌悪ループから抜ける考え方
- それでもつらいときに、受診や環境調整を考えていい目安
までを、看護師目線で具体的にまとめました。
「怒りをなくす」ことがゴールではなく、
“扱えるようになる”ことで、自分と周りを守れるようになるイメージで読んでもらえたらうれしいです。
怒りは“悪い性格”じゃなくて、疲労とストレスのサイン

最初にいちばん伝えたいのは、
「怒りっぽい=性格が悪い」ではない、ということ。
看護師として働いていると、
忙しさ・責任の重さ・人間関係のストレスが重なって、心と身体のバッテリーがすぐ0に近づきます。
そのギリギリの状態で、「また急患」「また指示変更」「またクレーム」が重なると、
心が悲鳴を上げて、“怒り”という形で表に出てくることが多いんです。
「私は性格が悪いんだ」「看護師向いてないのかも」と決めつける前に、
まずは「それだけ疲れてるサインなんだな」と、一歩引いて見てあげましょう。
怒りは二次感情|本当は「不安・焦り・悲しさ」が隠れている
心理学ではよく、怒りは「二次感情」と言われます。
その奥には、こんな一次感情が隠れていることが多いです。
- 「またミスしたらどうしよう」という不安
- 「時間がないのに仕事が増える」という焦り
- 「頑張っているのに認められない」悲しさ
- 「誰も助けてくれない」という孤独感
看護師なんでこんなこともしてくれないの?
(本音:私だってもう限界なんだよ…誰か助けて…)
こんなふうに、怒りは心のSOSを守るための防御反応として出てきます。
だからこそ、「怒っちゃダメ」と抑え込むだけではなく、
その奥にある一次感情にも気づいてあげることが大事です。
「優しい自分でいたいのに当たってしまう」は看護師あるある
「患者さんには優しくしたい」
「後輩には、自分がされたみたいにキツく言いたくない」
そう思っているのに、実際はきつい口調になってしまう。
そのギャップがつらくて、自分を責めてしまう…これは多くの看護師が経験している“あるある”です。



さっきの言い方、ちょっときつかったかなって気にしちゃうんです…。



忙しいと余裕がなくなるだけなんだよね。
「私だけじゃないんだ」と分かるだけでも、少し気持ちが軽くなります。
ここからは、イライラが爆発しやすい状況を整理して、できる対策を一緒に見ていきましょう。
イライラが爆発しやすい看護師の共通パターン


ここでは、「イライラしやすい」「口調がきつくなりやすい」場面の共通パターンを整理してみます。
自分に当てはまりそうなところがあれば、「そりゃ怒って当然だよね」と、まずは現状を認めてあげましょう。
休憩不足・睡眠不足・低血糖で“心のバッテリー”切れ
- 休憩に入る予定だったのに、急患で後ろ倒し
- 夜勤明けで睡眠時間が足りないまま日勤
- 気づいたら夕方まで水もろくに飲んでない
身体のエネルギーが切れていると、
- いつもなら流せる一言に過剰反応する
- 些細なミスでイライラMAXになる
など、怒りのハードルが極端に下がります。
「急いで」「今いい?」に追われて中断だらけの勤務
看護師の仕事は中断の連続です。
- バイタル測定中に医師からコール
- 記録を書いている途中にナースコール
- 注射の準備をしていたら「外来から問い合わせ」
頭の中で組み立てていた段取りが、何度も崩されるストレスは相当なもの。
その結果、
「なんで今言うの!?」
「ちょっと待ってって言ったよね!?」
と、きつい言い方になりやすくなります。
断れない・抱え込みがちな性格(責任感&完璧主義)
- 「やっておくよ」とつい仕事を引き取ってしまう
- 断ると「やる気がない」と思われそうで怖い
- 「私がやった方が早いし正確」と思ってしまう
こうした責任感の強さ・完璧主義も、イライラの素になりがちです。
本当はキャパオーバーなのに、どんどん仕事を抱え込んでしまい、
最終的に心の余裕がゼロになったところで怒りとして噴き出すイメージです。
その場で効く:勤務中の“爆発回避”3ステップ


ここからは、実際の勤務中に使える即効タイプの対処法を紹介します。
全部いきなり完璧にやろうとせず、まずはどれか1つだけ試してみるイメージでOKです。
身体をゆるめる:呼吸を1回深くして、顎と肩を落とす(10秒)
イラッとした瞬間、私たちの身体は
- 肩が上がる
- 顎が前に出る
- 呼吸が浅くなる
といった“戦闘モード”になります。
まずはこの身体の状態を、強制的に「ゆるめモード」に戻しましょう。
やり方(10秒でOK)
- 息を鼻からゆっくり吸う(3〜4秒)
- 口から長めに吐く(5〜6秒)
- 吐きながら「顎をスッと引いて、肩の力をストンと落とす」



イラッとしたら、とりあえず呼吸+肩ストンだけはセットでやるって決めてるよ。
これを1回だけでもやる癖をつけると、爆発までの数秒にちょっとしたブレーキがかかります。
言葉でワンクッション:「了解です」だけ言って距離を取る
イライラしているときに、すぐ返事をしようとすると、
「きつい言い方」「早口」「刺さる言葉」が出やすくなります。
そんなときは、あえて一旦“薄い返事”だけして距離を取る方法がおすすめです。
「了解です、あとで確認します」
「今の話、あとで一度整理させてください」
「受け取りました、少し時間ください」



すぐに反論したくなったときは、“了解しました”って一回だけ言うようにしてます…。
心の中ではモヤモヤしていてOK。
ただ、その場で“怒り100%の言葉”をぶつけないための時間稼ぎと思って使ってみてください。
頭の渋滞をほどく:次にやることを1つだけメモに書く
頭の中が「あれもやらなきゃ」「これもまだ」「なんで今それ言うの」
でパンパンになっていると、イライラもMAXになります。
そんなときは、一度「次にやることを1つだけ紙に書く」のが効果的です。
- 「次:〇号室 抗生剤投与」
- 「次:〇〇さんの処置準備」
とにかく1つだけ、具体的に書く。
これだけでも頭の渋滞が少し解消されて、
「とりあえずこれだけやろう」と落ち着きを取り戻しやすくなります。
口調を柔らかくする“定型文”まとめ(勤務中にコピペで使える)


ここは暗記じゃなくてOK。
“言い方が荒れそうな場面”を1つ決めて、まずは1フレーズだけ使ってみてください。
うまく言えなくても「前置き」だけで印象が変わります。
指示ではなく「確認」に変えるフレーズ
ついきつくなりやすい場面では、「指示」ではなく“一緒に確認する”ニュアンスに変えるだけで、
相手に伝わる印象がガラッと変わります。
「○○しておいて」
→ 「○○の件、いまどうなっているか一緒に確認させてください」
「それ違うよ」
→ 「ここ、念のため一緒に確認してもいい?」
「このオーダー、こう解釈してるんだけど合ってるかな?」
“確認したいんだけど〜”を口癖にすると、
同じ内容でも、相手に「責められている」感じを与えにくくなります。
強く言いそうな時の前置き
忙しくて余裕がないときほど、最初に一言つけるだけで印象が違うことがあります。
「今ちょっと急いでるから、結論から話していい?」
「バタバタしててごめん、要点だけ先に伝えるね」
「時間がなくて、言い方きつくなったらごめんね」



“今急いでるから結論から言うね”って先に言ってもらえると、全然受け取り方違いました
「丁寧に話したい気持ちはあるけど、余裕がない」という
本音を軽く前置きするだけで、
相手も「今、大変なんだな」と受け取りやすくなります。
断る・待ってもらうときのテンプレ
断るのが苦手な人ほど、言い回しのテンプレを決めておくとラクです。
「今は難しいので、◯分後なら対応できます」
「現時点で手一杯なので、終わり次第こちらから声をかけますね」
「この2つだと、どちらを優先した方がいいですか?」
最後のフレーズは、優先順位を一緒に決めてもらうための一言です。
これを言えるようになるだけでも、抱え込みが少しずつ減っていきます。
きつく言ってしまった後のフォローの一言
どんなに気をつけていても、きつく言ってしまうことはあります。
そんなときに、さらっと一言フォローできるかどうかで、その後の関係も変わります。
「さっき急いでて、言い方きつかったかも。ごめんね」
「バタバタしてて、きつく聞こえたよね。助かってるからね」
「さっきは助けてくれてありがとう。言い方きつかった、ごめん」
自分を責めるより、
「フォローの一言」を用意しておく方が、よっぽど建設的です。
怒りが溜まりやすい人の“根本対策”5つ


ここからは、その場しのぎではなく“再発しにくくする”ための対策です。
全部やろうとしなくて大丈夫。
「今の自分にいちばん必要そうなもの」から1つ試してみましょう。
まずは休憩を守る小技:先に水・糖分・トイレを確保
- 休憩前に必ずトイレに行く
- ナース服のポケットに、小さめのゼリー・飴などを1つ入れておく
- ウォーターサーバーや自販機の位置を“自分のルート”に組み込む
「ゆっくり座って休憩」は難しくても、
「水分・糖分・トイレだけは死守する」と決めるだけで、
心のバッテリー切れはかなりマシになります。
仕事の優先順位テンプレ|「緊急×重要」で分けてみる
イライラの元になりやすいのが、
「全部大事で、どれから手をつければいいか分からない状態」
です。そこでオーソドックスですが、
「緊急度」と「重要度」で4つに分ける癖をつけてみます。
- 緊急・重要:今すぐやる(状態変化・投薬・急患など)
- 緊急・重要ではない:誰かに頼む/簡略化できないか考える
- 緊急でない・重要:時間を決めて集中してやる(記録など)
- 緊急でも重要でもない:やらない/後回し候補に
頭の中だけでやろうとせず、
メモに書き出して、2〜3個だけ「今日の優先トップ」と決めるだけでも、
「全部に追われている感」が和らぎます。
「小さく頼む」練習をする(1つだけお願いしてみる)
いきなり大きなお願いから始めると、
「断られたらどうしよう」
「迷惑じゃないかな」
と不安になり、結局自分で全部抱え込んでしまいます。
まずは“小さく・具体的に”お願いする練習から。
「この書類だけ、空いたときにチェックしてもらってもいいですか?」
「この処置の準備だけ、お願いできないかな?」
一度「いいよ」と言ってもらえた経験が積み重なるほど、
“頼む=迷惑”という思い込みが少しずつほぐれていきます。
自分の境界線を決める|どこまでやるかを事前に決めておく
- 残業時間の上限ライン
- 休日にLINEや電話で仕事の話をどこまで受けるか
- どこまでなら「引き受ける」、どこから「相談する/断る」のか
あらかじめ“自分のルール”として決めておくことで、
「本当は嫌なのに、流されて引き受けてしまう」頻度が減っていきます。
帰宅後5分の切り替えルーティン(着替え・シャワー・一言日記など)
家に帰ってからも、頭の中が仕事モードのままだと、
家族やパートナーにイライラをぶつけてしまい、また自己嫌悪…というループになりがちです。
5分でできる“儀式”を決めておくのがおすすめです。
- 病院の敷地を出たら、深呼吸を3回
- 帰ったらすぐ制服を脱ぐ・シャワーを浴びる
- スマホのメモや手帳に「今日よかったことを1行だけ」書く
「あの一言は反省…でも、あの対応はよく頑張った」
と、自分を丸ごとジャッジしない習慣がついていきます。
「また当たってしまった…」自己嫌悪ループから抜ける


怒ってしまったあとにいちばんつらいのは、
「なんであんな言い方をしたんだろう」「私ってダメだな」という自己嫌悪ですよね。
ここでは、反省の仕方を少しだけ変えることで、
同じ出来事を“次につながる経験”に変えていきます。
“責める反省”から“次の一手を決める反省”へ
NGパターンは、
「私って本当にダメ」
「看護師向いてない」
と、自分全体を否定する反省です。
これを“行動レベルでの反省”に変えていきます。
「次からは、イラッとしたら一回深呼吸してから話そう」
「同じ状況になったら、“今急いでるから結論から言うね”を前置きしよう」
こうやって、「次はこうしてみる」を1つだけ決める反省に変えると、
同じ出来事が、少しずつ“練習の場”に変わっていきます。
1行振り返りのコツ|「何がトリガー?次はどうする?」
紙やスマホに、次の2つだけを書き出してみましょう。
- 今日イラッとしたトリガーは?
例:「記録中に何度も中断された」「眠気MAXで余裕ゼロだった」 - 次はどうしてみる?
例:「イラッとしたら肩ストン+深呼吸だけやる」
1行でもいいので書き出す習慣がつくと、
「私は怒りっぽい」で終わらず、「イライラのパターン」「対策のパターン」が見えてきます。
インシデント後の落ち込みとの違いと重なり
インシデントを起こしたあとに、
自分への怒り・悔しさ・怖さが混ざって、イライラしやすくなることもあります。
「あのミスのせいで、周りに迷惑をかけた」
「また同じことをしたらどうしよう」
こうした“ミス後のメンタル”に特化したケアについては、
別記事で詳しくまとめています。
→「インシデントで落ち込む看護師へ|ミス後の立ち直り方と心の守り方」


怒りだけでなく、「怖さ・罪悪感・落ち込み」とセットで見ていけると、
よりトータルなセルフケアになります。
それでもつらいとき:受診・相談・環境調整の目安


セルフケアをしてもなお、
- イライラがほぼ毎日
- 家でも仕事のことばかり考えて眠れない
- 出勤前に動悸や吐き気がする
- 休みの日も気持ちが晴れず、涙が止まらない
こんな状態が続いている場合は、
「自分が弱い」からではなく、“環境や心身の負荷が限界”のサインかもしれません。
受診を考えるサイン|不眠・動悸・涙が止まらない・出勤が怖い など
次のような状態が続く場合は、
心療内科・精神科・産業医などへの受診を検討してOKなラインです。
- 眠れない、または早朝に覚醒してしまう日が続く
- 動悸・息苦しさ・吐き気などの身体症状が強い
- 涙が出て止まらない日が多い
- 「出勤を考えると、身体が動かなくなる」



「休んだ方がいいほどではない」と我慢してしまいがちですが、
早めの相談が、結果的に回復を早くしてくれることが多いです。
上司・同僚・家族に相談するときの伝え方のポイント
相談するときは、「ダメな自分の告白」ではなく「安全に働くための相談」と捉えてOKです。
「最近イライラしやすくて、自分でもコントロールしづらいです」
「疲労感が強くて、ミスにつながりそうで怖いです」
「怒りっぽくなっていて、職場にも家庭にも影響が出てきています」
「具体的な症状」+「仕事への影響」をセットで伝えると、
相手も状況をイメージしやすくなります。
部署異動・転職を考えていいライン
- どれだけセルフケアをしても、環境要因が強すぎて改善しない
- 職場の人間関係や文化が、明らかに攻撃的・ハラスメントぎみ
- 「ここにいる限り、ずっと怒りと自己嫌悪を繰り返しそう」と感じる
こういった場合は、
部署異動や転職を検討してもいいタイミングかもしれません。
もし「環境が原因で毎回こうなる」と感じるなら、“辞める”の前にできる環境調整も選択肢です。




「辞める=負け」ではなく、
自分と周りを守るための“環境調整”として選択肢を持っておきましょう。
怒りは悪者じゃない。扱えるようになるとラクになる


怒りは、あなたの性格が悪い証拠ではなく、
- 疲れている
- 追い込まれている
- 守りたいものがある
という、心と身体からのSOSです。
この記事で紹介したのは、
- 勤務中の“爆発回避”3ステップ
- 深呼吸+肩ストン
- 「了解です」で距離を取る
- 「次にやる1つ」をメモに書く
- 口調を柔らかくするための定型文ストック
- 休憩・優先順位・頼り方・境界線・切り替えルーティンなどの根本対策
- 自己嫌悪ループを「次の一手」に変える反省の仕方
- それでもつらいときの、受診・相談・異動・転職の目安
でした。
今日から試してほしい“3つだけ”
全部を一気にやろうとせず、
まずはこの3つだけ、意識してみてください。
- イラッとしたら「深呼吸+肩ストン」を1回だけやる
- きつく言いそうなときは「今ちょっと急いでるから、結論から言うね」を前置きする
- 帰宅後に1行だけ、「今日よかったこと or 次にやってみたいこと」をメモする
少しずつでも、怒りとの付き合い方が変わっていくと、
仕事のしんどさも、人との関わりも、少しずつラクになっていきます。



最近、すぐイライラしちゃって、自分でも嫌になるんだよね…。



それだけ頑張ってるってことだよ。
まずは“疲れてるサインなんだ”って認めてあげよ。
あなたが「優しくありたい」と思っていること自体が、
もうすでに大きな強みです。
怒りを0にするのではなく、うまく扱える自分を、一緒に育てていきましょう。
次に読む(同じ悩みの出口)
気になるところから読んでください。読み終わる頃に、次の一手が見えます。




