「プリセプターになってから、仕事がずっとつらい…」
「新人指導のストレスで、正直もう限界かもしれない」
プリセプター・指導係は、とても責任が重く、ストレスも大きい役割です。
- 自分の受け持ちもあるのに、新人指導まで任されて仕事が終わらない
- 新人との相性・温度差に疲れきってしまう
- 「辞めさせたくない」「でも甘やかしたくない」の板挟み
- 上司の評価や「育て方」へのプレッシャーで、いつも緊張している
この記事では、プリセプターがしんどくなる原因を「時間・責任・関係」の3つに分解しながら、
- 限界サインの見つけ方
- 指導がラクになる“仕組み化”のコツ
- そのまま使える「伝え方テンプレ」
- 上司への相談の仕方
- どうしてもつらいときの「プリセプターを降りる」「異動・転職」という出口
まで、現場目線でまとめました。
おかゆプリセプターがつらいのは、“あなたのメンタルが弱いから”ではなく、そもそも構造的に負担の大きい役割だから。
ここから一緒に整理していきましょう。
プリセプターがつらいのは「あなたが弱いから」じゃない


プリセプターになってから、、自分を責めてしまう人はとても多いです。
でも、プリセプターがしんどい背景には、あなた個人の性格ではなく“職場の構造や評価の仕組み” が大きく関わっています。
指導も立派な“業務”なのに、評価と責任だけが重くなりがち
新人指導は、本来「業務」として時間や人員を確保して行うべきものです。
ところが現場では、こんな状態になりがちです。
- 自分の通常業務+新人のフォローを同時進行
- 忙しい日も、夜勤明けも「指導もよろしくね」の一言で終わり
- 「新人が育っていない」「ミスが多い」と、まずプリセプターに矢印が向く
つまり、仕事量は増えているのに、仕組みや評価は昔のまま。
これでは疲れて当然です。



自分の仕事が減るわけじゃないのに、“育てる責任”だけ増えていく…
そりゃしんどくなりますよね。
「新人の出来=自分の成績」になってしまう構造がしんどさを生む
プリセプター制度では、
- 新人がミス → 「指導はどうなってるの?」
- 成長がゆっくり → 「教え方を見直して」
など、新人の成果がそのままプリセプターの評価 に結びつきやすくなります。
でも本当は、結果に関わっているのは
- 新人本人の適性・理解度・メンタル
- 病棟の忙しさ・人員配置
- フォロー体制・教育システム
- 病棟全体の雰囲気
など、さまざまな要素です。
「全部、自分のせい」と抱え込む必要はありません。
プリセプターが限界に近づいているサイン(見逃しやすいポイント)


真面目なプリセプターほど、「まだ頑張れるはず」と自分を後回しにしがちです。
でも、心と体のサインが出ているときは要注意です。
出勤前から胃が重い/新人のことが頭から離れない
- 前日の夜から、仕事を考えると胃が重くなる
- 休みの日も、新人指導のことばかり考えてしまう
- 「また何か起きるんじゃないか」と不安が消えない
ここまできているときは、心がかなり疲れているサインです。
口調がきつくなる・ため息が増える・笑顔が減る
- つい早口・強めの口調になってしまう
- 指導中のため息が増えた
- 新人と関わるときだけ笑顔が作れない
自分で「性格が悪くなったみたい」と落ち込む人もいますが、
これは余裕が削られた結果の防衛反応のことが多いです。



“私が悪い”と責める前に、“それだけ追い込まれているほど頑張っているんだ”と受け止めてあげてほしいです。
自分の業務ミスが増えてきたら危険信号と思っていい
- ダブルチェックを飛ばしてしまう
- いつもしないような取り違えをしそうになる
- 記録の漏れ・遅れが目立ってきた
ここまでくると、安全面にも影響が出始めている状態です。
この段階はもう「我慢で乗り切る」ではなく、環境調整を急いだ方がいいレベルです。
「限界サイン」への対処はこちらも参考に
→ 「インシデントで落ち込む看護師へ|ミス後の立ち直り方と心の守り方」


プリセプターが「しんどい」と感じる原因は3つに分けられる


漠然と「つらい…」と感じている状態を、原因ごとに分けて言語化すると対策が取りやすくなります。
プリセプターのしんどさは、大きくこの3つです。
- 時間の問題
- 責任の重さ
- 人間関係・相性
①時間の問題|教えるほど自分の仕事が終わらなくなる
- 処置やケアを一緒に回る分、単純に時間がかかる
- 口頭で説明 → 振り返り → 記録確認…と、「教える時間」が丸ごと増える
- その結果、残業・サービス残業で帳尻を合わせることに
これは、プリセプター個人の努力だけではどうにもならない部分が大きいです。
後ほど紹介する「仕組み化」や「上司への相談」で、少しでも負担を減らしていくことが大切です。
②責任の重さ|「事故が起きたらどうしよう」の不安とプレッシャー
- 新人の処置に付き添いながら、常に「ここでミスしたらどうしよう」と緊張
- インシデントが起きたとき、「自分の指導も責められるかも」と不安になる
この、ずっと緊張しっぱなしの状態が、心身の疲労をじわじわと溜めていきます。
責任感が強い人ほど「気を張り続けて燃え尽きる」パターンになりがちです。
③人間関係・相性|受け取り方や温度差でぐったりしてしまう
- 何度伝えても同じミスを繰り返す
- 返事だけは良いのに行動が変わらない
- 「ここまで言わないと分かってもらえないの?」と虚しくなる
これは、プリセプターのスキルだけではどうにもならない領域です。
本人の特性や、他スタッフの関わり方、病棟の雰囲気…いろいろな要素が絡んでいます。



“全部自分の教え方のせい”と決めつけないこと。
まずは「時間」「責任」「関係」のどこで詰まっているのか整理すると、次に打てる一手が見えやすくなります。
新人指導がラクになる“仕組み化”5つ


「もっと優しくしなきゃ」「広い心で見守らなきゃ」だけでは、正直どうにもなりません。
ここからは、今日から試せる“現実的な仕組み化”を紹介します。
①「今日のゴール」は1つに絞る(全部教えようとしない)
1日の中で教えたいことが山ほどあっても、あえてゴールは1つに絞るのがコツです。
「今日は点滴ルート確保の準備を自立してできるようになる」
「今日は術前訪問の流れだけ集中して覚える」
など、テーマを決めておくと、教える側も教えられる側も集中しやすくなります。
最初に
「今日のゴールはここまでできたらOK。それ以上はできたらラッキーくらいで大丈夫だよ」
と伝えておくと、新人も余計な不安を抱えずに済みます。
②“確認ポイント”を固定化して毎回同じ型で振り返る
その場しのぎで指導していると、
「前と言ってることが違う」
「どこを直せばいいのか分からない」
と受け取られやすくなります。
そこで、振り返りの型を固定化してしまいましょう。
例:振り返りの型
- できていた点(良かったところ)
- 改善したい点(課題)
- 次回のゴール・意識するポイント
毎回この順番で振り返るだけでも、
新人は「この3つが聞けるんだな」と分かって安心しやすくなります。
③注意は「事実+次の一手」だけを伝え、人格には触れない
NG例
- 「なんでそんなこともできないの?」
- 「普通ここは気づくでしょ」
OK例
「さっきの採血で、ラベルの確認が抜けていたよ(事実)。
次からは、針を抜く前に“名前・ID・検査項目”を声に出して確認しよう(次の一手)。」
「何が起きたか」と「次にどう防ぐか」をセットで伝えるのがポイントです。
人格に触れず、行動だけにフォーカスすると、関係もこじれにくくなります。
④メモやチェックリストで“言った・言わない”をなくす
口頭だけの指導は、お互いにこうなりがちです。
- 指導側:「この前も説明したよね?」
- 新人側:「言われた気もするけど…メモできてない…」
最初に簡単なチェックリストや専用メモを用意しておき、
- できたらチェック
- 注意点はそこに書き込む
と決めておくと、振り返りの記録にも、自分を守る証拠にもなります。
「ここまでは伝えた」「ここまでは一緒に確認した」という記録があるだけで、プリセプターの安心感もかなり変わります。
⑤報告・相談のルールを最初に決めておく
「いつ・どのタイミングで・どこまで報告してほしいのか」を、最初から共有しておくとトラブルが減ります。
例:
- 「異常かもと思ったら、その場ですぐ呼んでほしい」
- 「迷ったら勝手に進めず、一回手を止めて相談してね」
- 「患者さん・ご家族からクレームが出たときは、まず私に報告して」
このルールは、次に出てくる「緊急時の声かけテンプレ」と一緒に伝えると、さらに効果的です。
新人への声かけ・伝え方テンプレ集


ここからは、そのままコピペして使える“声かけテンプレ”です。
LINEやメモ帳に保存しておいて、アレンジしながら使ってみてください。
依頼のとき:「今の段階では、ここまでできたらOKだよ」
「今の段階では、
・バイタル測定
・電子カルテへの入力
ここまでできていたらOKだよ。
ルート確保は、もう少し慣れてから一緒に練習していこう。」
「完璧じゃない=ダメ」ではなく、
“今のゴールライン”を明示してあげることで、新人の安心感はかなり違ってきます。
指摘のとき:「〇〇が抜けてた → 次は△△で防ごう」
「さっきの投薬で、アレルギー歴の確認が抜けていたよ。
次からは、投薬前に“診療歴 → アレルギー → 薬剤名”の順で声に出して確認していこう。」
- 「何が抜けていたか」(事実)
- 「次はどうするか」(具体策)
をワンセットにすると、新人も「次にやること」が明確になります。
緊急時の約束:「迷ったら一旦止めて、すぐ呼んでほしい」
「迷ったときは、無理に進めなくていいから、一旦手を止めてすぐ呼んで。
“こんなことで呼んでいいのかな?”って迷うときこそ、遠慮しないでほしい。」
「迷ったら止まる・呼ぶ」が合図になっていれば、
新人も「どこで相談していいのか」が分かり、事故防止にもつながります。
新人がなかなか伸びない・合わないと感じるときの考え方


どれだけ工夫して教えても、なかなか伸びない新人に出会うこともあります。
成長スピードには個人差も“環境差”もある
成長速度を左右するのは、
- 本人の性格・理解の仕方・過去の経験
- プリセプターとの相性
- 病棟の忙しさ・人員配置
- 他のスタッフからの声かけ・フォロー
など、たくさんの要素です。
「私の教え方だけが原因」と考える方が不自然なくらいです。
“合わない”こと自体は悪じゃない(配置や担当変更という選択肢)
暑さが苦手な人が灼熱の現場で力を発揮しにくいように、
「この病棟・このスタイル」がたまたま合っていないだけ、ということもあります。
そんなときは、
- サブプリセプターをつけてもらう
- 特定の技術指導を他の先輩にお願いする
- 担当替え・部署替えを検討する
など、「人を責める」より「配置を調整する」という発想を持っておくと、少しラクになります。
上司に相談するときのタイミングと言い方


「上司に相談したら、弱音だと思われないかな…」
と、ギリギリまで我慢してしまう人も多いです。
でも、プリセプターが限界になると、患者さんの安全にも関わってきます。
早めに共有した方が、お互いのためです。
基本の相談フレーム:状況→困りごと→お願い・提案(担当変更/支援)
相談は、次の3ステップにまとめると伝わりやすくなります。
- 状況:今、こういう状態です
- 困りごと:この部分が負担・リスクになっています
- お願い・提案:こういう形でサポート・調整をお願いしたいです
例文:週1のフォロー時間を確保したい/業務量の調整を相談したい
「〇〇さん(新人)のプリセプターを担当していますが、
日勤帯で新人指導と自分の受け持ちを両立するのが、今は難しくなっています。
新人のフォローに時間を使う分、自分の業務ミスも増えてきていて、安全面でも不安です。
可能であれば、週1回だけでもいいので“新人指導中心で動ける日”を作るか、
受け持ち患者数を1〜2名減らしていただけないでしょうか。」
「〇〇さんとの相性が悪いというより、
私だけではフォローしきれない部分も出てきていると感じています。
サブプリセプターを1人つけてもらうか、一部の技術指導を△△さんにお願いする形で、
体制を一緒に検討していただけると助かります。」



相談することは“弱音”ではなく、リスクや課題を共有する大事な仕事だと思って大丈夫です。
それでも限界なら|プリセプターを降りるのは「逃げ」じゃない
できる工夫をしても、「今の自分には本当にしんどい」と感じることもあります。
「降りる」という選択肢:期間限定・部分担当・チームでの役割分担
一度プリセプターを引き受けたからといって、
最後まで1対1で抱えきらなければならないわけではありません。
- 一時的にプリセプター役を交代してもらう
- 技術指導は他の先輩、メンタルフォローや声かけは自分、など役割を分ける
- 「病棟全体で新人を育てる」体制に切り替えてもらう
など、「完全に降りる」以外にも柔軟な調整の仕方があります。
部署異動・働き方の変更も含めてOKという“出口”を持っておく
「この部署でプリセプターを続けるのは、本当に限界」と感じたら、
部署異動や転職という選択肢も、自分を守るための現実的な手段です。
- 同じ病院内で、教育負担の少ない部署へ異動する
- 教育体制が整っていて、1人に責任が集中しにくい職場へ転職する
など、「環境ごと変える」ことで楽になる人は少なくありません。
上司への相談や異動の考え方は、
→ 「看護師の部署異動ガイド|辞める前にできる配置転換の相談・伝え方」も参考になります。


「今の病棟でプリセプターを続けるのが限界かも…」と感じたら、
“教育体制が整っていて、一人に負担が偏りにくい職場” を、転職サイトに条件として伝えてみるのも一つです。転職サイトでは、教育体制や人員配置など、内部情報も含めて相談しながら職場を探せます。
いきなり応募じゃなくてOK。まずは求人の傾向を“眺めるだけ”で大丈夫。
\ 今日登録→来週見学 /
\ 条件送付→合う求人だけ受け取る/
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※合わなければ見学だけ/辞退もOK。連絡が不安なら最初に希望を添えましょう。
「プリセプターを降りる」「異動・転職を考える」ことは、
患者さんと新人、そして自分自身を守るための選択肢であって、決して逃げではありません。
まとめ|プリセプターは“ひとりで抱え込まない人”ほど長く続けられる


最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- プリセプターがつらいのは、あなたが弱いからではなく、役割の構造が重いから
- 出勤前の胃の痛み・ミスの増加・口調がきつくなる…などの 「限界サイン」を見逃さない
- しんどさは「時間・責任・関係」の3つに分けて整理すると、対処が見えやすい
- 「今日のゴールを1つに絞る」「振り返りの型を決める」「事実+次の一手で伝える」など、仕組みで自分を守る
- 新人が伸びないとき、全部を自分のせいにしなくていい。配置や担当変更も立派な対策
- 上司には「状況→困りごと→お願い・提案」の型で、早めに相談してOK
- どうしても限界なら、プリセプターを降りる・部署異動・転職など、環境そのものを変える選択肢を持っておく



プリセプターを任される時点で、あなたはすでに“信頼されている看護師”です。
その信頼を、あなた一人の我慢のうえに積み上げる必要はありません。
仕組みと環境を少しずつ整えながら、“自分も新人も守れる指導”を一緒に目指していきましょう。
次に読む(同じ悩みの出口)
気になるところから読んでください。読み終わる頃に、次の一手が見えます。




