忙しい看護師のストレス対策|原因・サイン・相談まで解説

「夜勤前に眠れない」

「睡眠リズムが崩れて回復しない」

「人間関係や言い方に気を遣いすぎて消耗する」

忙しさでしんどいを後回しにしがちな私たち看護師。

放っておくと、体も心もSOSが出ます。

この記事はストレスの原因→サイン→対処→支援→転機の順で、今日から使えるストレス対策をまとめました。

病棟・外来・手術室・ICUなど現場は違っても、土台は同じ。

ひとりで抱え込まず、一緒に整えましょう。

目次

看護師がストレスを感じる主な原因

ここでは①業務量②人間関係③評価プレッシャー④プライベートで整理しました。

自分に当てはまるところを参考にしてください。

1. 業務量・時間外・夜勤サイクル

入退院が重なる時間帯や、急変・電話対応など業務の中断が多い日は、「やることは増えるのに、終わらせる時間が減る」というねじれが起きやすくなります。

そのねじれが積み重なると残業が当たり前になり、疲れが抜けません。

夜勤で体内時計が乱れると、さらに睡眠は短く細切れに。


回復しづらさ→注意の散りやすさ→不安、という連鎖は、あなたが弱いからではなく体の仕組みによるものです。

2. 人間関係・コミュニケーション(多職種連携/患者・家族対応)

医師・リハ・薬剤・事務…役割が重なる現場では、優先順位や権限の解釈の違いが生まれやすいもの。

口頭・メモ・電子カルテが混在した伝達や、短い引き継ぎ時間の中では情報が抜けやすく、指示の食い違いが起こります。

さらに、不安の強い患者さん・ご家族の対応が看護師に集中しやすい構造が、感情の負担を増やします。

これは個人の問題ではなく、仕事の成り立ちそのものがつくるしんどさです。

3. 役割期待・評価プレッシャー

「できて当然」という空気、教育係やリーダーの早い担当、責任だけが先に増える状況…。

こうした職場の文化や仕組みが、プレッシャーの芽になります。

評価も、件数や時間など数字になりやすいことに寄りがちで、患者安全の見守りやチームの調整、気持ちのケアといった見えにくい貢献が伝わりにくい。

「減点を避けなきゃ」という緊張が続くと、心はいつのまにか休む場所を失いがちです。

4. プライベート(育児・介護・金銭・ライフイベント)

育児や介護は、時間と気力を少しずつ使わせます。

行事や呼び出しで生活リズムが崩れたり、家事分担や通勤の負担がじわじわ効いてきたり。

家計の変化や将来への心配も、静かに肩に乗ってきます。

制度(時短・固定シフト・公休振替など)があっても、「迷惑になるかも…」という遠慮が早めの相談をためらわせ、結果的に調整が遅れてしまう

その遠慮自体が、新しいストレスの種になります。

危険サインを早めにキャッチ

危険サインをキャッチし、いまの自分の現在地を確認しましょう。

体と心のサイン、そして受診・相談の目安を具体化しました。

体のサイン(睡眠・食欲・不調の出方)

体は正直です。

入眠しづらい、中途で何度も目が覚める、食欲が落ちる(逆に過食になる)、頭痛や胃痛、動悸、めまい、PMSの悪化……

こうした変化が続くときは、すでに危険サインが出ていると受け止めましょう。

心のサイン(不安・イライラ・意欲低下)

『職場のことを考えるだけで涙が出る』

『好きだったことに手が伸びない』

『ミスが増えて自信がなくなる』

どれも弱さではなく、助けを呼ぶためのアラートです。

気づけた時点で半分は前進しています。

受診/相談の目安チェックリスト

  • 症状が2週間以上持続
  • 日常生活(家事・育児・通勤)に支障
  • 安全に関わる判断力低下
  • 自責・希死念慮がある

いずれかに当てはまれば休みを確保し、産業医・心療内科・職場窓口へ

おかゆ

危険サインは「気のせい」ではありません。看護師ほど無理が効くので、早めのブレーキが必要です。

まず職場内でできる対処

大きな改革よりも、今日から出来る小さな一手が効きます。

優先度整理・伝え方・フィードバックの3本柱で、現場のストレスを少しずつ解消しましょう。

優先度整理

出勤直後に付箋やメモで今日のToDoを書き出します。

1タスク=1行(15〜30分で終わる大きさ)で、3つの欄に並べ替える

  • 今やる:期限が迫る/安全に直結/自分しかできない
  • 任せる・相談:依頼・確認が必要(部署・医師・先輩)
  • 後で:今日じゃなくて良い/空き時間でできる

今やるは同時3つまでに固定(増えたら、任せる or 後でへ)

終業前には、翌日最初に何をするかだけ決めて帰ると、翌朝の助走が楽になります。

1〜2週間の小さな試行から始めましょう。

申し送り・カンファでの伝え方(SBAR)

申し送りやカンファはSBARで短く整えると伝わりやすく、相手の判断も早まります。

SBARは、口頭報告を30秒で要点だけ伝える枠組みです。

順番は S(状況)→ B(背景)→ A(評価)→ R(提案)

相手はこの並びで聞く前提なので、こちらも並びを崩さずに話すと判断が早くなります。

各パートのコツ(定型句つき)

  • S:状況 … 今起きていることを一言で。
    例)「報告です。Aさん、術後12時間でドレーン排液が増加しています。」
  • B:背景 … 前と比べてどうか”関連情報を数字で
    例)「総量250mL、直近3時間で100mL。ヘモグロビン前10.5→今9.6です。」
  • A:評価 … 自分の見立てを短く。
    例)「出血リスクありと考えます。」
  • R:提案 … 具体的に何をしたいか。可否や指示をもらう。
    例)「採血追加とドレーン確認指示いただけますか?
おかゆ

SBARは30秒で言える量に絞ると伝わりやすいよ。

フィードバックをもらうコツ

ストレスでしんどい時には、指導を受けるのもしんどい。

まず一言「ありがとうございます」。

つづけて「次回は何をひとつだけ変えればいいですか?」と宿題を小さくする。

良かった点を一つ確認し、どの場面・いつ試すかをその場で決めて復唱。

おかゆ

ひとつだけ+いつやるか+復唱。自分を責めないのがいちばんの近道だよ。

自己管理で土台を整える

環境を整えたら土台づくり

睡眠・食事・運動は最小コストで最大効果の自己投資です。

テンプレ通りでなく、あなたの勤務形態に合わせて調整しましょう。

睡眠|夜勤前後のルーティン最適化

夜勤前は90分単位の仮眠が相性◎。

明けは帰宅→入浴→軽食→90分仮眠→夕方に15分の散歩、という流れをにしておくと回復が安定します。

連勤中は内容よりも起床・就寝の時刻を一定に保つことを優先しましょう。

おかゆ

うまく寝られたらOKじゃなくて横になれたらOKに切り替えましょう。

食事|乱高下しない補食と水分

補食は炭水化物+たんぱく質のセット(おにぎり+卵やヨーグルトなど)で血糖の乱高下を防ぎます。

カフェインは勤務後半に偏らせず、夜勤の終盤は白湯やノンカフェインに切り替えると、寝つきがラクになります。

運動|5〜10分でも効くリセット法

『時間がない』日こそ5〜10分のからだリセットを。

交代直後に肩甲骨まわりを動かし、休憩で足首ポンプ、帰宅後にハムストリングスや臀筋、胸椎を中心に軽いストレッチ。

小さく続けるほど、翌日のだるさが違います。

心理的アプローチで受け止め方を変える

同じ出来事でも、受け止め方で負担は変わります。

認知のクセに気づき、マインドフルネスで余白を作り、言葉を選び直す。

  • 認知のクセに気づく(リフレーミング)
  • マインドフルネス/セルフ・コンパッション
  • ポジティブ言語の使い方

3つのアプローチで心の負担を軽くします。

認知のクセに気づく(リフレーミング)

『全部私のせい』と抱え込むクセに気づいたら、事実と解釈を分けて書き出します。

何が起き、誰が見ても確認できるのはどこまでか。

失敗は次回のチェックポイント1行に翻訳すれば、学びに変わります。

マインドフルネス/セルフ・コンパッション

1分でできるボックス呼吸(4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める)で、脳の余白をつくります。

セルフ・コンパッションは『今はしんどい。助けを借りていい』と自分に声をかけるだけでも効果的です。

ポジティブ言語の使い方

言葉の選び直しも立派な対処です。

『忙しくて無理』を『今日は時間が足りない。何をやめる?』に、『またミス』を『次の一手はこれ』に。

現場の空気を荒らさず、行動が変わります。

外部リソースを活用する

一人で抱え込まないための外部の力を利用する方法もあります。

産業医・メンタルヘルス窓口・EAP、公的相談をメモし、必要な時に迷わずアクセスできるようにしておきましょう。

産業医・メンタルヘルス窓口・EAP

産業医面談や職場の相談窓口(看護部・人事)、EAP(従業員支援プログラム)があれば、いざという時にすぐ使えるよう連絡方法を把握しておきましょう。

普段から窓口の地図を手元に置いておくと安心です。

公的相談・カウンセリング

自治体の心の健康相談や医療機関のカウンセリング外来も選択肢です。

症状が強い・長引くときは、心療内科・精神科を早めに受診して体を休める段取りから整えます。

強いストレスが続くときの選択肢

強いストレスが続くのは、働き方を見直すサイン。

休職・時短・配置転換、そして転職の下見まで、無理のない順番で具体的な手順を整理します。

休職・時短・配置転換の進め方

動けないほどつらいときは、働き方を見直す合図。

診断書を準備し勤務調整を相談→休職・時短・部署異動など制度の適用範囲を確認→復帰プラン(勤務時間や業務範囲の段階設定)を相談する順番で進めると安心です。

見学だけ/登録だけで情報収集(転職の下見)

転職は“下見”からでOK。

見学では『1日の流れ』『教育の運用』を中心に質問し、転職サイトは登録だけ・見学だけの利用でも大丈夫。

連絡はメール中心が希望であること、電話はこの時間帯が助かることなど、最初に伝えておくと気持ちよく進みます。

休職歴は『治療のため○ヶ月休職、現在は主治医の許可のもと復帰可能』と簡潔に。

おかゆ

転職活動は、見学だけ・登録だけでOK。電話が苦手ならメール中心でと最初に伝えて大丈夫。

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よくあるQ&A(夜勤・新人・手術室/病棟の違い など)

Q. 夜勤前、眠れない。
A. 90分単位の仮眠を「取れたら成功」。寝つけない日は横になるだけでもOK。起床時刻を固定。

Q. 新人で毎日つらい。
A. できる範囲を上長と数値で合意。記録は午後○時までにこの3件など、締め切りを先に決める。

Q. ORやICUの緊張が抜けない。
A. チェックリスト化で頭の負担を軽く。終了後の3分振り返り(良かった1つ/次回1つ)。

Q. 相談が怖い。
A. メモに事実→困り→希望を書いて持参。10分面談でOK。言葉が詰まったらメモを見せるだけでも十分。

10. まとめ|「一人で抱えない」を合言葉に

ストレスの正体は見えれば対処できます。

まずは今日ひとつ行動を決め、明日は続け方を工夫

そして、しんどい時は助けを借りる

あなたの安全と患者さんの安全は同じ線上にあります。

無理をやめることは、弱さではなくプロの判断です。

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この記事を書いた人

手術室看護師のおかゆです。
10年以上の経験を持ち、転職を経て今もなお手術室で活躍しています。
このブログでは、私自身が転職活動を行う際に感じた疑問や不安を元に、看護師の皆さまが次の一歩を踏み出す際の参考になる情報を提供しています。

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