看護師が休職する手順と傷病手当金の申請方法【復職まで完全ガイド】

「もう限界かもしれない」——そう感じながらも、休職という選択肢を具体的にどう動かせばいいか分からず、結局ギリギリまで働き続けてしまう看護師は少なくありません。

手続きが面倒そう、給料が心配、職場に迷惑をかけたくない——そんな不安が行動にブレーキをかけます。でも実際には、正しい手順を踏めば休職は思ったよりずっとスムーズに進められます。

この記事では、休職の申し出から傷病手当金の申請・復職の判断まで、看護師が知っておくべきことをすべて解説します。

この記事でわかること

  • 看護師が休職できる条件と職場への申し出方
  • 休職手続きの具体的なステップ(診断書取得〜休職開始まで)
  • 傷病手当金の金額・申請方法・受給期間
  • 休職中の過ごし方と復職・退職の判断基準
目次

まず知っておきたい「休職」の基本

休職とは、雇用関係を維持したまま、一定期間の労務を免除してもらう制度です。退職とは異なり、休職後に職場に戻ることが前提となっています。

休職できる期間はどれくらい?

休職期間は病院・施設によって就業規則が異なりますが、一般的には勤続年数に応じて3か月〜1年程度認められることが多いです。まず自施設の就業規則を確認しましょう。

勤続年数目安の休職期間
1年未満1〜3か月
1〜3年3〜6か月
3〜5年6か月〜1年
5年以上1年〜1年6か月

※あくまで目安です。就業規則の「休職」条項を必ず確認してください。

休職中にお金はもらえるの?

休職中は原則として給与は支払われません。ただし、健康保険に加入していれば「傷病手当金」として標準報酬月額の約2/3を最長1年6か月受け取れます。詳しくは後述します。

休職の手順ステップ【5ステップで解説】

「休みたいけど何から始めれば…」という方のために、休職開始まで全体の流れを整理します。

休職開始までの5ステップ

  1. 受診・診断書を取得する(内科・精神科・心療内科)
  2. 師長・上司に休職の意向を伝える
  3. 人事・総務へ申請書類を提出する
  4. 健保組合に傷病手当金を申請する
  5. 休職開始・療養に集中する

ステップ1:まず病院を受診して診断書を取る

休職には医師の診断書が必要です。「適応障害」「うつ状態」「自律神経失調症」など、就労困難を示す病名が記載されれば問題ありません。精神科・心療内科への受診に抵抗がある場合は、まずかかりつけの内科でも相談できます。

診断書には「○か月間の休職加療が必要」という文言を入れてもらいましょう。費用は3,000〜5,000円程度が相場です。

ステップ2:師長・上司に休職の意向を伝える

診断書が取れたら師長に伝えます。このとき「診断書があります」と最初に伝えるのがポイント。診断書があると引き止めを受けにくくなります。

伝え方の例:「先生に相談したところ、休職が必要と言われ診断書をいただきました。手続きについて教えていただけますか」。自分の判断ではなく医師の指示という形にすると話がスムーズです。

ステップ3:人事・総務に書類を提出する

職場の人事または総務に「休職申請書」を提出します。書類の様式は職場によって異なるので確認しましょう。提出するもの:①診断書(コピー可の場合あり)、②休職申請書。これで休職の正式な手続きが進みます。

ステップ4:健保組合に傷病手当金を申請する

傷病手当金の申請は、加入している健康保険組合(または協会けんぽ)に対して行います。申請書を職場(総務)に渡して医師と会社の証明を記入してもらい、健保組合に提出するという流れです。

ステップ5:休職開始・療養に集中する

手続きが完了したら、あとは療養に集中するだけです。休職中は職場から連絡が来ることもありますが、体調が悪いうちは無理に対応する必要はありません。回復が最優先です。

傷病手当金:金額・受給条件・申請方法

休職中の収入面で多くの看護師が心配するのが「お金のこと」。傷病手当金の仕組みを正確に理解しておきましょう。

傷病手当金の金額

1日あたりの支給額=標準報酬日額(月額の1/30)×2/3。たとえば月収30万円の看護師なら、1日あたり約6,667円、月約20万円を受け取れます。

月収(税込)1日あたりの目安月の支給額(目安)
25万円約5,556円約16.7万円
30万円約6,667円約20万円
35万円約7,778円約23.3万円

受給できる条件

  • 健康保険(社会保険)に加入していること(国民健康保険は対象外)
  • 業務外の病気・ケガで働けない状態であること
  • 連続して3日以上休んでいること(待期期間)
  • 休業中に給与が支払われていないこと

受給期間

傷病手当金の支給期間は通算1年6か月(2022年1月から通算制度に変更)。途中で復職して再び同じ病気で休職しても、1年6か月から復職中の期間を引いた分が残っています。

申請のタイミング

傷病手当金は月1回まとめて申請するのが一般的です。申請書は3枚綴りで、①自分記入欄・②事業主証明欄(職場の総務が記入)・③医師証明欄(担当医が記入)に分かれています。毎月忘れずに申請することが大切です(2年以内なら遡及申請も可)。

休職中の正しい過ごし方

「休んでいるのに何もしていない」という罪悪感を感じる看護師は多いです。でも休職中は回復が最大の仕事。焦りは禁物です。

休職初期(〜1か月):とにかく休む

休職直後は何もしなくていい期間です。睡眠を十分にとり、食事を摂り、日光に当たる——それだけで十分。SNSも仕事の連絡も気にしなくていいです。仕事のことを考えると症状が悪化することがあるので、意識的に切り離しましょう。

中期(1〜3か月):生活リズムを整える

少し楽になってきたら、起床・就寝・食事の時間を一定にすることを意識します。軽い散歩や読書など、負担のない活動を少しずつ増やしていきましょう。「できること」を少しずつ広げるイメージで進みます。

後期(復職前1〜2か月):復帰を見据えた準備

外出や社会的な活動に慣れてきたら、復帰に向けた準備をします。リワーク(職場復帰支援プログラム)を利用するのも効果的。担当医と相談しながら段階的に活動量を上げていきます。

復職か退職か——判断するための3つの基準

休職中に「このまま戻っていいのか」「もう辞めた方がいいのか」と悩む時期があります。判断が難しい問題ですが、以下の3つの視点で考えると整理しやすくなります。

基準①:体調が安定しているか

睡眠が取れ、日常生活を問題なく送れる状態であることが復職の最低条件です。「職場のことを考えると体調が悪くなる」という状態での復職は再発リスクが高いです。焦らず担当医と相談しましょう。

基準②:休職の原因が解決しているか

「人間関係」「過重労働」「ハラスメント」など、休職の原因が職場にある場合は、同じ職場に戻っても再発する可能性があります。部署異動が可能かどうか、職場環境が変わっているかどうかを確認することが大切です。

基準③:転職という選択肢も持っておく

同じ職場への復職が唯一の選択肢ではありません。休職中に転職活動を始めることも選択肢のひとつ。傷病手当金を受給しながら転職活動することは問題ありません。回復してきたら、新しい環境での再スタートも視野に入れましょう。

復職が向いている転職を検討すべき
職場環境環境が改善されている・部署異動が可能休職の原因が解決していない
体調職場を思い出しても不調にならない職場のことを考えると症状が出る
気持ち「また看護師として働きたい」と思える仕事自体がつらく感じられる

休職中に転職活動をするなら知っておきたいこと

傷病手当金を受給しながら転職活動すること自体は違法ではありません。ただし、就労できない状態での転職活動は矛盾が生じる場合があります。体調が回復してきた段階で、担当医に相談しながら慎重に進めましょう。

転職先には休職していたことを告げる義務はありません(嘘をついてはいけませんが、聞かれなければ話す必要はない)。ただし、面接で「前職の退職理由」を聞かれた場合は「体調を整えるために一度立ち止まりました。現在は完全に回復しています」という形で正直に、かつポジティブに伝えましょう。

休職中に職場から電話がかかってきたらどうすればいい?

体調が悪いうちは対応しなくて構いません。医師から「業務に関わる連絡を控えるよう」指示してもらうことも可能です。どうしても連絡が来る場合は「体調が優れないので対応が難しい状態です」と短く伝えるだけでOKです。

診断書なしで休職できる?

就業規則によっては診断書なしで認められる職場もありますが、傷病手当金の申請には医師の証明が必要です。また診断書があった方が職場への説明がスムーズになり、引き止めを受けにくくなります。

休職中に転職先が決まったら傷病手当金はどうなる?

新しい職場に就職した時点で傷病手当金の受給は終了します(就労可能な状態になったため)。ただし、就職前の休養期間分については受給できます。

休職中は社会保険料を払い続けないといけない?

はい、休職中も社会保険料(健康保険・厚生年金)の支払いは続きます。給与がない分、会社が立て替えて後日請求するか、毎月口座引き落としで本人負担分を支払うケースが多いです。事前に総務に確認しましょう。

休職を繰り返すと解雇される?

就業規則に定められた休職期間を超えた場合、「自動退職」や「解雇」の扱いになる職場があります。ただし、いきなり解雇はできません。まず就業規則の「休職上限」を確認し、期間内に復職を目指すか、延長交渉ができるか人事に相談しましょう。

まとめ:「休む」ことは逃げではない

休職は弱さの証明ではありません。自分を守るために必要な制度を正しく使うことは、賢明な判断です。

  • まず病院を受診して診断書を取得する
  • 師長への申し出は「診断書がある」と最初に伝える
  • 傷病手当金で月収の約2/3が最長1年6か月支給される
  • 休職中は回復に集中し、焦らず段階的に活動を増やす
  • 復職か転職かは体調・環境・気持ちの3軸で判断する

あなたが「もう限界かも」と感じているなら、それはすでに休むサインです。診断書1枚で、状況は大きく変わります。

転職も視野に入れているなら

復職よりも新しい職場でやり直したいと感じているなら、転職エージェントに相談するのが近道です。休職中でも相談できます。看護師専門のエージェントは非公開求人も多く、あなたの状況を理解したうえでサポートしてくれます。

>> 【2026年版】看護師転職完全ガイド

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この記事を書いた人

手術室看護師のおかゆです。
10年以上の経験を持ち、転職を経て今もなお手術室で活躍しています。
このブログでは、私自身が転職活動を行う際に感じた疑問や不安を元に、看護師の皆さまが次の一歩を踏み出す際の参考になる情報を提供しています。

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