「また10時間超えそう…今日も足が限界」
「手術が終わった後の虚脱感がひどくて、翌日も引きずってしまう」
長時間手術はオペ看の体力・集中力・メンタルをじわじわ削っていきます。
でも実は、少しのコツで疲労の蓄積はかなり変わります。
この記事では
- 長時間手術で体と心がつらくなる理由
- 手術中にできる疲労軽減テクニック
- 術後の回復を早める具体的な方法
- 長丁場でも集中力を保つコツ
をオペ看目線でまとめます。
⚡ 手術室のキャリアを考えている方は:手術看護認定看護師になるにはもあわせてどうぞ。
手術前の準備で消耗を減らす

疲労対策は手術が始まってからだけではありません。
手術前の準備段階からすでに対策は始まっています。
術前に「物品の場所」を確認しておく
手術中に「○○どこですか?」と焦りながら探す状況は、精神的消耗を加速させます。
手術開始前に必要物品の配置を確認しておくことで、術中の焦りと無駄な動きが格段に減ります。
特に追加で使いそうな器械・ガーゼの場所まで把握しておくと、長時間手術でも余裕が生まれます。
食事と睡眠は「前日から」が勝負
長時間手術が予定されている日の前日は、消化の良い食事・十分な睡眠を意識しましょう。
特に睡眠不足は集中力・判断力・体力すべてを下げます。
「今日は長そうだから早く寝よう」と意識するだけで、翌日の消耗度がかなり変わります。
「長時間になりそうか」を朝のうちに把握する
手術スケジュールを朝確認する際、自分が担当する術式・予定時間をチェックしておきましょう。
「今日は長丁場になる」と事前に覚悟しておくだけで、精神的な準備が整い、消耗の仕方が変わります。
長時間手術がつらい理由

長時間手術の疲労は、身体的・精神的の両方が重なってやってきます。
それぞれの負担を理解しておくことが、対策の第一歩です。
身体面:立ちっぱなし+緊張の連続
器械出しナースは、術中ほぼ立ちっぱなしです。
「次に何が必要か」を常に先読みしながら緊張状態を保つので、座っているよりずっと疲弊します。
足のむくみ・腰痛・肩こりが積み重なり、帰宅後は何もできないほど疲れ切ることもあるわけです。
精神面:集中力の限界と責任感のプレッシャー
手術中はミスが許されないという緊張感が常にあります。
5〜8時間、集中し続けることは脳に対しても大きな負荷をかけます。
「自分が集中を切らしたら患者さんに影響する」というプレッシャーが、精神的疲労を加速させます。
手術中にできる疲労軽減テクニック

「手術中に何かできるの?」と思うかもしれませんが、意識一つで消耗度はかなり変わります。
① 体重を片足に集中させない
長時間立つ時、無意識に片足に重心を乗せてしまいがちです。
定期的に体重を左右に移動させるだけで、足腰への負担が分散されます。
術野から目を離さずにできるので、手術の邪魔にならずに体を守れます。
② 肩と首の力を抜く意識を持つ
緊張すると知らず知らずのうちに肩が上がります。
5分に一度「肩を落として、首を長く」と意識するだけで、術後の首・肩こりが変わります。
深呼吸を一回するだけでも、緊張がほぐれて集中が戻ります。
③ こまめな水分補給を忘れない
長時間手術中は、気づかないうちに脱水になりがちです。
外回りナースと交代できるタイミングで水分補給するよう、あらかじめ先輩と相談しておきましょう。
脱水は集中力低下・頭痛・疲労感の原因になります。水を飲むことも仕事のうちだと割り切りましょう。
④ 「今の手順」だけに集中する
「あと何時間あるんだろう…」と考え始めると、精神的に消耗します。
「今の手順だけ」に集中するマインドセットが、長時間でも集中力を持続させる最大のコツです。
先のことを考えても手術は短くなりません。
今この瞬間だけを見る——これだけで体感時間がまるで変わります。
術後・帰宅後の回復を早める方法

長時間手術の後は、回復の質が翌日のパフォーマンスを左右します。
「疲れたからとりあえず寝る」だけより、少し意識した回復ルーティンのほうがずっと楽になります。
足のむくみは帰宅後すぐにケアする
帰宅したら、足を心臓より高い位置に上げて10〜15分休むだけで、むくみの抜け方が全然違います。
術中から弾性ストッキングを着用しておくと、帰宅時点での足の状態がかなり改善されます。
食事は「消化に優しいもの」を優先
疲れ切った状態で揚げ物・重いものを食べると、消化に体力を取られて睡眠の質が落ちます。
うどん・おかゆ・豆腐など消化しやすいものを選ぶと、翌朝の回復感が変わります。
タンパク質は筋肉の修復に必要なので、卵・豆腐・白身魚などで補いましょう。
量より質を意識するのがポイントです。
入浴で体をリセットする
シャワーだけで済ませたくなりますが、湯船に10分浸かるだけで筋肉の回復が促進されます。
40℃前後のぬるめのお湯が副交感神経を優位にして、睡眠の質を上げます。
疲れている日こそ、入浴をルーティンにしておくと翌日が楽になります。
装備・グッズで消耗を減らす

疲れを減らすために、装備の工夫も取り入れてみましょう。
少しの投資が、長時間手術の快適さを大きく変えることがあります。
弾性ストッキング(着圧ソックス)
手術室ナースが一番効果を実感しやすいアイテムです。
圧力で静脈の血流を助けるため、むくみと足の疲労感が明確に違います。
医療用の着圧ソックス(15〜20mmHg程度)が術中の使用に適しています。
市販のものでも効果はありますが、できれば医療用グレードを選ぶと長時間でも差が出ます。
インソール(中敷き)
手術室の床は固く、長時間立ちっぱなしには向いていません。
クッション性のあるインソールを靴に入れるだけで、足裏・膝・腰への負担がかなり変わります。
「立ち仕事用」と書かれたものを選ぶと失敗が少ないです。
ネックウォーマー・カイロ(冷え対策)
手術室は年中冷えています。
特に長時間手術では体の冷えが疲労を倍増させます。
スクラブの下にインナーを着込む、術前・術後にカイロで温めるなど、体温管理を意識しましょう。
長期的に疲れをためないために

日々の対策も大事ですが、慢性疲労にならない体づくりが長く働く上で一番重要です。
週1回「何もしない日」を作る
休日も「何かしなきゃ」と動き続けると、疲労が抜けません。
週に1日は意識的にダラダラする日を作ることが、翌週のパフォーマンスを守ります。
罪悪感を感じる必要はありません。
休むことも手術室看護師の仕事の一部です。
「今日も頑張った」を言語化する
長時間手術をやり切った日は、それだけで十分すごいことです。
「今日○時間の手術を乗り越えた」と書き残すだけで、自己効力感が積み上がります。
メンタルの疲弊はスルーしがちですが、セルフケアの一つとして意識してみてください。
慢性疲労のサインを見逃さない

日常的な疲れと「慢性疲労」は別物です。
以下のサインが続く場合は、体が限界に近づいているサインかもしれません。
- 休日に十分寝ても疲れが取れない
- 手術中に集中できない・ミスが増えた
- 手術前から「行きたくない」という気持ちが強い
- 食欲がない・眠れない日が続く
- 些細なことで感情的になりやすい
1〜2項目当てはまる程度であれば、この記事の対策を試しながら様子を見てみましょう。
3項目以上続いているなら、上司への相談やシフト調整を真剣に検討するタイミングです。
無理をして質の低いケアを提供するより、一時的に休んで回復するほうが患者さんにとっても安全です。
よくある質問

まとめ:疲れと上手に付き合う

長時間手術の疲労はゼロにはできません。
でも、うまく付き合う方法は必ずあります。
- 手術中は体重移動・肩の脱力・水分補給を意識する
- 「今の手順だけ」に集中して精神的消耗を減らす
- 帰宅後は足上げ・消化の良い食事・入浴で回復を促す
- 週1回は何もしない日を意識的に作る
- つらさを感じたら早めに周囲に伝える
自分の体を大切にすることが、患者さんの安全を守ることにもつながります。
今日からできることを一つだけ試してみてください。



