「明日の術式、名前は聞いたことあるけど…正直どんな手術かイメージできない…」
「予習しなきゃと思いつつ、どこから手をつければいいかわからない」
手術室に入ったばかりの新人さんも、数年目で担当科が増えてきた中堅さんも、「術式予習」はずっとついて回るテーマですよね。
この記事では、
「術式予習のやり方」「おすすめマニュアル3冊」「新人〜中堅の使い分け」
をまとめてご紹介します。
実際に現場で使い倒してきた本や、後輩指導の中で「これがあると説明しやすい!」と感じた本だけを厳選しているので、
よければ予習用マニュアル選びの参考にしてみてください。
新人さん向けに「勉強の進め方とおすすめ本」をまとめた記事もあります。
→ オペ室1〜2年目の勉強法とおすすめ本

経験3〜5年の中堅オペナースさん向けには、こちらで“レベルアップ読書”をまとめています。
→ オペ室看護師におすすめの本まとめ

術式予習がオペナースの「安心」と成長をつくる

まずは、「そもそも術式予習って何のためにやるの?」というところから整理します。
ここを押さえておくと、「どこまでやれば十分か」のラインが見えやすくなります。
予習しているかどうかで当日の余裕が全然違う
同じ新人でも、
- 術式名だけなんとなく知っている状態で当日を迎える人
- 「目的」「ざっくりした流れ」「体位と大物器械」だけは押さえてくる人
では、手術室に入ったときの余裕がまったく違います。
予習をしていると、
- 先輩の指示が「外国語」ではなく、ちゃんと意味のある言葉として入ってくる
- 次に必要になりそうな物品や薬剤を想像しやすい
- 想定外の展開でも「どこがズレているのか」を考えやすい
といったメリットがあり、結果的に患者さんの安全と、自分の安心感につながります。
おかゆ完璧に覚えてから入室は難しいので、「とりあえず地図だけは持っていく」くらいの感覚で予習しておくとラクです。
新人も中堅も共通する「予習のゴール」とは
レベルは違っても、予習のゴールは共通しています。
- 手術の目的と大まかな流れをイメージできる
- 体位・主な使用器械・必要な物品がわかる
- 術中〜術後で特に注意したいポイントを押さえている
全部を暗記する必要はありません。
まずは、地図を持った状態で当日を迎えることがゴールです。
新人のうちは「流れ+大物器械+体位」がメイン。
中堅になったら、そこに「術後管理や合併症」「麻酔・全身状態」を少しずつ足していくイメージでOKです。
病棟と違う?手術室ならではの予習ポイント
病棟と比べたときの、オペ室ならではのポイントは、
- 「何をするか」だけでなく、「どの順番で」「誰が」「どこに立って」行うかが大事
- 体位固定・圧迫・神経損傷など、ポジショニング由来のリスクが多い
- 器械・物品・薬剤の準備漏れが、そのまま手術の遅延やリスクにつながる
という点です。
だからこそ、術式の本も
医師向けの術式書だけでなく、「オペナースの視点で書かれたマニュアル」を併用すると、予習の効率がぐっと上がります。
新人〜中堅オペナース共通の「術式予習ステップ」


ここでは、レベルに関係なく使える「予習の型」を紹介します。
この流れをテンプレにしてしまうと、「今日も何からやれば…」と悩む時間を減らせます。
まずは予定表・術式名・担当科から情報を集める
予習のスタートは、予定表の確認から。
- 術式名
- 執刀医・麻酔科医
- 予定手術時間
- 担当科・予定患者数
をざっと見て、
「どの科の・どんな疾患に対する・どのくらいのボリュームの手術か」
をイメージします。
術式の目的・適応疾患をざっくり押さえる
次に、術式の目的と適応疾患をざっくり押さえます。
- どんな疾患・状態に対して行う手術か
- 開腹/腹腔鏡/ロボットなどアプローチの違い
- 根治術なのか、姑息的な手術なのか
ここが見えてくると、
- 術中の展開
- 術後の観察ポイント
- 予測される合併症
がぐっとイメージしやすくなります。
イラストや図で「手術の大まかな流れ」をイメージする
文字だけの説明は、どうしても頭に入りづらいですよね。
予習段階では、イラストや図が多い本を優先して見るのがおすすめです。
- 皮膚切開〜閉創までの「おおまかなステップ」
- どのタイミングで体位が変わるか
- どの段階で出血や合併症が起こりやすいか
をざっくり追っておくだけでも、当日の見え方がかなり変わります。
体位・使用器械・物品・薬剤をリストアップする
次は、準備物品の視点です。
- 体位(仰臥位・側臥位・砕石位…)
- 体位に必要なマット・固定具
- 代表的な器械・鉗子
- 特殊器械(Cアーム、内視鏡機器など)
- 術中によく使う薬剤(局所麻酔薬、止血剤など)
これらをリストアップし、自部署のマニュアル・セット表と照らし合わせて漏れがないか確認します。
術後の観察ポイント・合併症リスクまで確認しておく
最後に、術後の視点を少し足しておきます。
- 起こりやすい合併症
- 観察が必要な部位・ドレーン・創部
- 痛みの出方、麻酔からの覚醒の様子
中堅になってくると、このあたりまで押さえておくことで、
病棟やICUへの引き継ぎ内容もイメージしやすくなり、「周術期全体を見る目」が育ちます。
術式予習に使える情報源と、その役割分担


予習に使える情報源は1つではありません。
「部署マニュアル」「市販の本」「Web情報」など、それぞれ得意分野が違うので、役割を分けて組み合わせていくイメージが大事です。
部署オリジナルの術式マニュアル・セット表
まずは、自部署のオリジナルマニュアルが最優先です。
- 実際の物品配置
- 病院ごとのルール
- 麻酔科や執刀医のこだわり
といったローカルルールは、市販の本には載っていません。
市販本で「一般的な流れ」をつかみつつ、最終確認は部署マニュアルで行うのが鉄則です。
医師向け術式書・ガイドライン・学会資料
時間に余裕があるときは、
- 医師向け術式書
- 診療ガイドライン
- 学会の患者向けパンフレット
などを読むと、「なぜこの手技をするのか」がクリアになります。
中堅〜プリセプター世代にとっては、
「後輩に説明できるレベル」にステップアップするのにぴったりの情報源です。
市販の術式マニュアル本を組み合わせるメリット
市販の術式マニュアル本には、
- オペナースの視点でまとまっている
- イラストや写真が多くイメージしやすい
- 科ごと・術式ごとに見やすく整理されている
といった強みがあります。
部署マニュアルだけだと情報が断片的になりがちなので、
市販の本で骨組みを作り、部署のマニュアルで肉付けをするイメージがちょうどよいです。
「ググる」ときに注意したいポイント
最近はネットにも情報があふれていますが、
術式に関しては次の点に注意が必要です。
- 一般向け・宣伝目的の記事も多い
- 情報が古い/誰が書いたかわからないページもある
- 著作権的にグレーな図や写真も混ざっている
公的機関・学会・大手医療サイト以外は、あくまで補助的に使うくらいが安心です。



ネットより先に本と部署マニュアルの順番を意識しておくと、情報迷子になりにくいです。
手術室看護師におすすめの術式予習マニュアル3選


ここからは、オペ室ナース目線で「これは使いやすい」と感じた3冊をご紹介します。
対象レベルや得意な分野が違うので、「今の自分」に合う1〜2冊を選ぶのがおすすめです。
ビジュアルでイメージをつかみたい人に:「NEW はじめての手術看護 “なぜ”からわかる、ずっと使える!」
3冊目は、写真・イラスト多めで“イメージで覚えたい人”向けの1冊です。
- 術前・術後のアセスメントから、体位固定、器械出し、モニタリング、感染管理までを一冊にぎゅっと凝縮
- 豊富な写真とイラストで、「オペ室で実際にどう動くか」がイメージしやすい構成
- 「なぜこのケアをするのか?」という根拠もしっかり書かれていて、復習や後輩指導にも使いやすい
こんな人に向いている
- 手術看護の“キホン”を、まずはビジュアルでざっくり押さえたい新人・異動ナース
- 体位固定や器械出しなど、「なんとなくやってきたこと」の根拠を整理したい中堅
- 後輩指導で「言葉だけだと伝わりにくいところ」を図解で見せたいプリセプター
新人〜中堅の予習の教科書に:「オペナースのための予習用術式マニュアル」
1冊目は、オペ室ナース向けに書かれた王道の術式予習本です。
- 代表的な術式が科ごとにまとまっている
- 体位・切開部位・使用器械・看護のポイントがコンパクト
- 新人でも「どこを見ればいいか」がわかりやすい構成
「とりあえず予習用に1冊ほしい」という新人さん〜数年目まで、
予習の教科書として置いておくのにぴったりな本です。
ここが使いやすい
- 前日の予習にちょうどいいボリューム
- 後輩に「ここだけ読んでおいて」とページ指定しやすい
- 部署で1冊+個人で1冊持っていても損はないタイプ
周術期全体を俯瞰したい人に:「手術の見取図 ―術式と術前〜術中〜術後を見わたす」
2冊目は、「手術の流れ+周術期全体」を1冊で見渡せるタイプの本です。
- 術式の目的・手順だけでなく、術前〜術中〜術後の注意点までセット
- 図・表が多く、「全体像」をつかみやすい構成
- 病棟・ICU・外来ナースにも役立つ内容
オペ室数年目〜プリセプター世代が、
- 「なぜこの体位・この手技なのか」をきちんと理解したい
- 周術期全体を俯瞰して後輩に説明したい
と感じたときに、とても頼りになる1冊です。
こんなときにおすすめ
- 新しい科・術式に入る前に“全体像”をつかみたいとき
- 病棟やICUとのカンファで、共通の資料として使いたいとき
- 術前・術後管理まで含めて学び直したいとき
3冊の比較と選び方(レベル・得意分野・紙/電子など)
ざっくりとした選び分けは、こんなイメージです。
- オペ室の全体像とキホンをビジュアルでつかみたい新人・異動ナース
→ 『NEW はじめての手術看護 “なぜ”からわかる、ずっと使える!』 - 術式ごとの予習をがっつりやりたい・前日の予習の“教科書”がほしい
→ 『オペナースのための予習用術式マニュアル』 - 周術期全体を整理したい・勉強会や後輩指導で説明に使いたい
→ 『手術の見取図 ―術式と術前〜術中〜術後を見わたす』
新人〜中堅オペナースなら、例えばこんな揃え方がおすすめです。
- オペ室に入ったばかり
→ まずは『NEW はじめての手術看護』で全体像とキホンをざっくりつかむ - 術式予習に本格的に取り組みたいタイミング
→ 『オペナースのための予習用術式マニュアル』を“相棒マニュアル”にする - 後輩指導やカンファで説明する立場になってきたら
→ 『手術の見取図』で周術期全体を押さえる
こうして役割を分けておくと、
「どの本をいつ開けばいいか」がはっきりして、予習も勉強も迷いにくくなります。
新人〜中堅オペナースの「レベル別・状況別」マニュアル活用法


同じ3冊でも、「新人」「数年目」「プリセプター」で使い方は少し変わります。
自分がどのフェーズにいるかをイメージしながら読んでみてください。
オペ室1〜2年目:まず身につけたい“基本の予習ルーティン”
1〜2年目のうちは、「毎日同じパターンで予習する習慣」をつくることが最優先です。
毎日の予習はこの順番でやるとラク
- 予定表で術式名・担当科・執刀医をチェック
- 『オペナースのための予習用術式マニュアル』で術式の目的&流れを確認
- 自部署のマニュアル・セット表で物品・器械をチェック
- 体位・体位固定具・必要なパッドを確認
- 気になるところだけ『手術の見取図』で術後管理をちらっと見る
初めての術式・苦手科に入る前のチェックポイント
- 「大まかな流れ」と「体位・大物器械」だけは必ず押さえる
- 不安なところはメモしておき、当日先輩に確認する
- 症例が終わったあと、マニュアルの余白に気づきを1行メモする



完璧な予習は目指さなくて大丈夫。
「昨日よりちょっと分かった」を積み重ねるイメージで続けてみてください。
経験3〜5年:担当科を広げたいときの使い方
3〜5年目になると、
- 担当科が増える
- 困難症例や再手術が増える
- 後輩に聞かれる場面が増える
など、「なんとなくわかる」から一歩進んだ予習が必要になってきます。
新しい科に入るときの流れ
- 『手術の見取図』で、
- その科の代表的な疾患
- 術式の種類と目的
- 術後管理のポイント
をざっくり把握する
- よく入る術式を『オペナースのための予習用術式マニュアル』でしっかり読み込む
- 体位や器械配置などイメージがつきにくい部分は、
『NEW はじめての手術看護』の写真・イラストで補う
「なんとなく流れは知っている」を卒業する工夫
- 本の「看護のポイント」「注意点」に付箋を貼って、自分の言葉でメモを書く
- 実際の症例ごとに、マニュアルの余白に「今回の気づき」を追記する
- 症例検討・勉強会の前に、『手術の見取図』で周術期の流れを再確認する
こうすることで、
「自分の経験」と「本の知識」がセットになり、応用力がぐっと上がります。
プリセプター・リーダー世代:後輩指導での見せ方
プリセプターやリーダーになると、「自分が理解する」だけでなく、
「どうやって後輩に説明するか」もセットで考える必要があります。
新人への「ここだけ読んでおいて」の指定の仕方
- 『オペナースのための予習用術式マニュアル』の中で
→ 「術式名」「体位」「看護のポイント」の部分だけを指定 - 1年目のうちは、「全部読んでおいて」ではなく、読む範囲をあえて絞る
- 次の日の朝、「どこまで読めた?」と一言フォローする
勉強会・ミニカンファで3冊をどう使い分けるか
- 術式の全体像:『手術の見取図』の図表を投影 or コピーして説明
- オペ看護の具体的なポイント:『オペナースのための予習用術式マニュアル』の該当ページを参照
- 体位や器械配置などイメージがわきにくいところ:
『NEW はじめての手術看護』の写真・イラストを見せながら説明
本を「個人の勉強用」だけで終わらせず、
部署全体の共通ツールとして使うと、勉強会の質もぐっと上がります。
紙・電子版・自作ノートを組み合わせて「続けられる予習」にする


どんなに良い本があっても、続かなければ意味がありません。
ここでは、紙の本・電子版・自作ノートを組み合わせて、無理なく続けるコツをまとめます。
紙のマニュアルに書き込む・付箋を貼るメリット
紙の本には、
- 余白にメモを書ける
- 付箋で重要ページをすぐ開ける
- 「使い込んだ感」がモチベーションになる
といったメリットがあります。
- 執刀医のクセ
- 施設独自のルール
- 実際に起こったヒヤリ・ハット
などは、どんどん余白に書き込んでOKです。
「自分だけの術式マニュアル」に育てていくイメージで使うと、愛着も湧きます。
電子版・スマホで“スキマ時間”予習をするコツ
電子版やスマホで見られる資料がある場合は、
- 通勤時間
- オペ室の待ち時間
- ちょっとした休憩の合間
に、1ページだけ・1術式だけと決めて読むのがおすすめです。
「30分勉強するぞ」と構えるのではなく、
1〜2分でできる予習を積み重ねる感覚で続けると、習慣化しやすくなります。
自分だけの「術式メモ」を育てていく(テンプレ例つき)
ノートやルーズリーフ、タブレットメモなどで、
自分だけの「術式メモ」を作っておくと、後から見返しやすくなります。
テンプレの例
- 術式名/担当科
- 目的・適応疾患(1〜2行で)
- 体位・体位固定の注意点
- 使用する大物器械・よく出る器械
- 看護のポイント(術中・術後)
- ヒヤリ・ハット/次回に生かしたいこと
マニュアル本で調べた内容に、実際の症例で感じたことを足していくことで、
同じ術式に入るたびに「自分用マニュアル」がアップデートされていきます。
まとめ:自分に合う1〜2冊を決めて、予習を習慣化しよう


最後に、この記事のポイントをぎゅっとまとめます。
全部やろうとするとしんどいので、「これならできそう」と思うところから一つだけ試してみてください。
新人〜中堅オペナースが押さえておきたいポイントのおさらい
- 術式予習のゴールは「完璧な暗記」ではなく、
地図を持った状態で当日を迎えること - 部署マニュアル+市販の術式本を組み合わせると、
流れと現場感の両方が身につく - 自分のレベルに合わせて、
1〜2冊の相棒マニュアルを決めてしまうとラク
「完璧に覚える」より「毎回少しずつアップデート」する
オペ室の術式はどんどん増えますし、
医師のやり方や機械も、時間とともに変わっていきます。
だからこそ、
- 毎回の予習で「新しく1つだけ」ポイントを足す
- 症例が終わったあと、マニュアルやノートに1行だけメモを足す
といった、小さなアップデートの積み重ねが大事です。
明日の手術から試せる、簡単な予習の一歩
もし今、
「予習しなきゃと思いつつ、何もできていない…」
という状態でも、大丈夫です。
まずは、明日の担当術式だけ、次の3つを確認してみてください。
- 術式の目的・おおまかな流れ
- 体位と体位固定の注意点
- 代表的な使用器械・大物器械
それを支えてくれる相棒として、
この記事で紹介した3冊の中から、自分に合いそうな1冊を選んでもらえたら嬉しいです。
次に読む(同じ悩みの出口)
気になるところから読んでください。読み終わる頃に、次の一手が見えます。



