手術室での経験が3〜5年を超えてくると、
- プリセプターや教育係を任される
- 記録や段取りだけでなく、麻酔や合併症への理解も求められる
- 外科医や麻酔科医と、もう少し踏み込んだ会話がしたくなる
こんなタイミングが増えてきますよね。
でも実際は、
「なんとなく経験則では分かるけど、理論を聞かれると自信がない」
「新人には教えているけど、自分の知識が古くなっていないか心配」
「合併症や急変のとき、もっと先回りして動けるようになりたい」
とモヤモヤすることも多いと思います。
そこでこの記事では、
“中堅オペナースとして一段レベルアップしたい人向け”の本を9冊
に絞って紹介します。
- 現場力・考え方をアップデートする本
- 周術期管理・合併症・リスクマネジメントを強くする本
- 麻酔・モニタリング・薬剤への苦手意識を減らす本
- 解剖・疾患理解を深めて「なぜこの術式なのか」を腑に落とす本
まで、カテゴリー別にまとめました。
おかゆ「全部そろえなきゃ」ではなく、
今の自分の課題に一番近い1〜2冊から読んでみてください。
中堅オペナースが「本で学び直す」メリット


経験だけでは埋まらない“理論の穴”を補える
中堅になるほど、
- 症例数はこなしている
- イレギュラーにもある程度対応できる
一方で、
「なんとなく感覚では分かるけど、説明してと言われると困る」
場面も増えてきます。
例えば…
- なぜこの術式ではこの体位・器械配置なのか
- どういう病態だから、この麻酔・薬剤を選んでいるのか
- この合併症リスクがあるから、モニタリングでここを見ておくべき
といった背景の理論は、経験だけだと抜け落ちやすい部分です。
ここを本で補っておくと、
- カンファレンスでの発言
- 医師への質問の質
- 新人への説明
が目に見えて変わります。
プリセプター・リーダーとして「言語化する力」が上がる
中堅になると、
「自分ができる」よりも
「どう伝えるか」「どう守るか」の比重が増えてくる
のがオペ室あるあるです。
本を通して、
- 手術看護の考え方のフレーム
- 合併症やリスクに対する標準的な見方
を整理しておくと、
新人に教えるときも、
「これはこうだから、こうしてね」
と筋の通った説明がしやすくなります。
現場力と“考え方”を一段引き上げる本
手術看護1UP ― 現役オペナースが教える!一皮むける現場力
この本は、手術室歴3〜7年くらいで「ただのこなせる人から一歩抜け出して、もう少しレベルアップしたい」と感じている中堅オペナースに向いています。
この本で伸びるポイント
- イレギュラー・急変時の「頭の中の整理の仕方」
- 多職種とのコミュニケーション・チームでの立ち回り方
- 先を読む段取り・準備のコツ
おすすめの読み方
1日1トピックだけ読んで、「明日のケースで試す」を繰り返す
印象的だったケースは、自分のメモに落とし込んで自分版マニュアルにしていきましょう。



新人の頃みたいにとにかく覚える本じゃなくて、
どう考えるかの視点が欲しい人向けって感じですね。
ナーシング・プロフェッション・シリーズ 手術看護 第2版
この本は、リンクナースやプリセプター、リーダー候補としてチームを支える立場になってきた中堅オペナース向けの内容です。
この本で伸びるポイント
- 術前・術中・術後をつなげて考える「周術期全体の視点」
- 患者教育・安全管理・倫理など、“専門職としての手術看護”の考え方
- 後輩指導やチーム医療の中での看護師の役割
おすすめの読み方
最初から全部読むより、まず
- 安全管理
- 合併症予防
- 教育・指導
の章をつまみ読みして、仕事の中で気になっているテーマから押さえると◎。
周術期管理・合併症・リスクマネジメントを強くする本
ねころんで読める 周術期管理のすべて
この本は、周術期センター的な考え方をざっくりつかみたい若手〜中堅オペナースに向けた1冊です。
この本で伸びるポイント
- 術前評価〜術後管理までの“周術期の流れ”をコンパクトに復習できる
- 病棟・外来・手術室・集中治療との連携イメージがつきやすい
- 「周術期のゴールは何か?」を考えながら動けるようになる
おすすめの読み方
自施設の周術期の流れと見比べながら読む
「うちの病院だとここが弱いな」と思うところに付箋を貼っておくと、
カンファや業務改善のネタ帳としても使えます。
術中・術後合併症 実践マスター
この本は、救急症例や高リスク症例、長時間手術を担当する機会が増えてきた中堅オペナースに特におすすめです。
この本で伸びるポイント
- 血圧低下・不整脈・出血・呼吸トラブルなど、
術中〜術後に起こりやすい合併症の“兆候〜対応”の流れ - 「どのタイミングで誰に報告するか」の目安
- カンファレンスや振り返りのときに、合併症を構造的に整理する視点
おすすめの読み方
「最近ヒヤッとした症例に近いところから」読む
症例カンファの前に該当箇所を読んでおくと、発言しやすくなります。
麻酔・モニタリング・薬剤を「怖くなくす」本
Dr.讃岐のサラサラ明解!手術室モニタリングの極意
この本は、モニターの数値はなんとなく追えているものの、
「その変化の意味をきちんと捉えられているか自信がない」と感じているオペナースに向いています。
この本で伸びるポイント
- 心電図・血圧・SpO₂・ETCO₂・麻酔ガスなど、
各モニターの見方と“次に起こりうる変化”の予測 - 「数値の変化を見て、なぜそうなったかを考える」クセ
- 麻酔科医との会話が、単なる報告から“相談”に変わる感覚
おすすめの読み方
自分がよく担当する診療科(心外・消化器・整形など)に関係する症例から読む
気になったグラフは、実際のモニターと見比べながら確認してみると理解が深まりやすいです。
麻酔看護ぜんぶ見せパーフェクトBOOK
この本は、麻酔補助や外回りとして麻酔への理解をもう一段深めたいオペナースにぴったりです。
この本で伸びるポイント
- 麻酔導入〜覚醒までの流れを、写真・図・Q&Aで理解できる
- 麻酔薬・鎮痛薬・ブロックなど、手術室ならではの麻酔看護のポイント
- 新人に麻酔を教えるときの“教材”としても使える内容
おすすめの読み方
「最近よく苦手意識を感じる場面」から逆引きする
例)覚醒時の興奮/術後痛コントロールなど
「最近よく苦手意識を感じる場面」から逆引きする
付箋を貼っておいて、同じようなケースを担当する前に読み返すと◎。
オペナースの疑問、3分で解説します!
この本は、「今さら聞きづらい小さな疑問をサクッとつぶしたい」と感じている中堅オペナースに向けたQ&Aスタイルの1冊です。
この本で伸びるポイント
- 麻酔導入・維持・覚醒で**“よくある質問”に3分で答える**スタイル
- 薬剤・輸液・神経ブロック・緊急時対応など、
ちょっとした疑問をつぶせるQ&Aが多数 - 忙しい人でも読み進めやすい、ライトな読み心地
おすすめの読み方
休憩中や帰りの電車など、「3分だけ読む」前提でパラパラめくる
気になったページだけ写真を撮っておいて、現場で見返すのもアリです。
解剖・疾患理解を深める本
講義から実習へ 高齢者と成人の 周術期看護 消化器編 第4版
この本は、消化器外科症例が多い施設で働く中堅オペナースに特に役立つ1冊です。
この本で伸びるポイント
- 消化器の解剖生理・病態から、術式の目的・注意点までを一気に整理
- ロボット支援手術や腹腔鏡手術など、近年増えている術式の周術期管理
- 「なぜこの術式なのか」「何をゴールとする手術なのか」が理解しやすくなる
おすすめの読み方
よく入る術式(胃切・大腸・肝切除など)だけでもOK
カンファレンス前に該当章を軽く読み返すと、発言の幅が広がります。
からだがみえる 人体の構造と機能
この本は、解剖生理がやや苦手で、術野をイメージするときに臓器や血管の位置関係がパッと浮かびにくいと感じている中堅ナースに向いています。
この本で伸びるポイント
- イラスト中心で、臓器や血管・神経の位置関係を視覚的に理解できる
- 術野をイメージしながら、「この操作はこの構造に触れている」と結びつけられる
- オペ室だけでなく、他部署へ異動したときも役立つ“汎用性の高い1冊”
おすすめの読み方
自分がよく担当する診療科の章だけでも十分
手術説明やICに同席したあと、医師の説明で出てきたキーワードを復習するために使うと記憶に残りやすいです。
本を買ったあとの「勉強の回し方」


本をそろえただけで満足してしまうのは、オペナースあるある。
中堅ならではの勉強法のポイントは、次の3つです。
1テーマ1冊を“決めて深く読む”
- 「周術期」「麻酔」「合併症」「解剖」などテーマごとに1冊“メイン本”を決める
- まずはその1冊にメモ・付箋を集約していく
- 分からないところが出てきたら、ガイドラインや論文を追加で調べる形に
ガイドライン・院内マニュアルとセットで見る
本だけではなく、
- 麻酔科や外科の院内マニュアル
- 学会ガイドライン
と見比べることで、「自分の病院のルール」がより理解できる。
食い違いを見つけたら、素直に医師や先輩に相談することで、
会話のきっかけにもなります。
プリセプター・教育係なら「資料化」を意識する
本で学んだ内容を、
- 新人向けチェックリスト
- プリセプター用のメモ
に落とし込むと、アウトプットを通して自分の理解が深まります。
勉強会の資料をつくるときの下敷きにもなるので、
一石二鳥どころか三鳥くらいあります。
一段上を目指したいなら「働き方」もセットで見直そう


本で学び直していくと、
「もっと症例数の多い施設でオペ室を極めたい」
「救急・心外・ロボット手術にも挑戦してみたい」
「逆に、体力的に落ち着いたオペ室や日勤だけの働き方に変えたい」
など、働き方やキャリアのことも自然と気になってくるはずです。
そんなときは、
などの記事も参考にしてください。








「本で学び直しながら、
いつでも一歩踏み出せるように“情報収集”だけでも始めておきたい」
そんな中堅オペナースさんには、
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手術室求人をチェックしておくのもおすすめです。
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まとめ|中堅オペナースこそ「学び直し」が効く


経験でなんとか回せるようになってきた中堅時代こそ、
理論・合併症・麻酔・解剖を本で学び直すと、現場力が一段アップします。
今回紹介した9冊は、
- 現場力・考え方
- 周術期管理・合併症
- 麻酔・モニタリング・薬剤
- 解剖・疾患理解
をバランスよく底上げしてくれるラインナップ
1テーマ1冊を決めて、
「明日の症例で試す」
「新人に説明してみる」
ところまでいくと、知識が定着しやすいです。
学び直しを続けるうちに、
「今の職場で極めるか」「別のオペ室や働き方に挑戦するか」という
キャリアの選択肢も自然と見えてきます。
中堅オペナースの時期は、
「まだまだ学べるし、キャリアもこれから広がる」一番おいしい時期でもあります。
ぜひ、この記事から今の自分に一番必要そうな1冊を選んで、
学び直しの一歩目にしてみてくださいね。


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