最近、こんな状態が続いていませんか?
・休みの日は何もできず、寝て終わることが多い
・患者さんや家族のつらさを、家に帰ってからも引きずってしまう
・前よりイライラしやすくなり、「ちゃんと向き合えない自分」に落ち込む
看護師は、体力だけでなく感情も使う仕事です。
そのぶん、共感疲労や燃え尽きは、頑張りが足りない人ではなく、むしろ真面目に向き合ってきた人ほど起こりやすい疲れ方でもあります。
ただ、「少し疲れているだけなのか」「もう休むことを考えた方がいいのか」は、自分では判断しにくいものです。
この記事では、3分でできるセルフチェックで今の状態を見える化し、軽度・中等度・重度の3段階に分けて、今優先したい対処をわかりやすく整理しました。
先に目安を言うと、0〜5点は生活の立て直し、6〜12点は仕事量や人間関係の調整、13〜20点は休む選択や受診も視野に入れたい段階です。
まずは点数を出して、当てはまるパートだけ読んでみてください。
バーンアウト/共感疲労って何?
まずは、「バーンアウト」と「共感疲労」の違いをシンプルに整理してみます。
どちらもしんどさの表れですが、疲れ方の方向が少し違います。
自分がどちらに近いかをイメージしながら見てみてください。

バーンアウトは「働き続けてエネルギーが切れた状態」、共感疲労は「人のつらさを受け止め続けて心が擦り減った状態」です。
実際には、この2つが重なって出てくることも少なくありません。
大事なのは名前を当てることより、今の自分に何が起きているかを知ることです。
看護師が陥りやすい「燃え尽き」と「共感疲労」のちがい
燃え尽き(バーンアウト)は、
仕事に全力で向き合い続けた結果、エネルギーが空っぽになってしまった状態を指します。
- 何もかも面倒くさい
- 仕事のことを考えるだけでどっと疲れる
- 自分の看護に意味を感じられない
といった感覚が続くのが特徴です。
一方、共感疲労は
「患者さんや家族のつらさに寄り添いすぎた結果、心が擦り減ってしまう」状態。
- 患者さんの話を聞くと、家に帰っても頭から離れない
- つらい話を聞くたびに、胸がぎゅっと苦しくなる
- 仕事以外の時間でも、感情がずっと重い
といったしんどさが出やすくなります。
ざっくり言うと、バーンアウトは「働き続けて電池切れになった状態」、共感疲労は「人のつらさを受け止め続けて心が擦り減った状態」です。
ただ、現場ではこの2つがきれいに分かれるとは限りません。
「最近は患者さんの話を聞く余裕がないし、家でも何も楽しめない」というように、重なって出てくることもよくあります。
だからこそ、「どちらの名前に当てはまるか」よりも、今どんな困りごとが起きているかで対処を選ぶことが大切です。
よくあるサイン
- 朝、体は動くのに「どうしても足が職場に向かない」
- ミスはしていなくても「自分なんてダメだ」と自己否定が強くなる
- 患者さんの訴えに、前ほど共感できずイライラしてしまう
- 同じようなインシデントを繰り返しそうで怖い
ここから先は、セルフチェックで「今どの段階か」を一緒に確認していきましょう。
共感疲労・燃え尽き度セルフチェック(合計点で今の状態を知る)

次に、いま自分がどのくらい疲れているのかをざっくり把握するためのセルフチェックです。
感覚だけで悩むのではなく、点数で見える化して「どこから整えるか」を決めていきます。
チェックリストの使い方(忙しくても3分でできる簡単診断)
以下の10項目について、過去2週間の自分を思い浮かべながらチェックしてみてください。
- 「よくある」…2点
- 「ときどきある」…1点
- 「ほとんどない」…0点
として合計点を出します。
共感疲労・燃え尽き度セルフチェック
◻︎仕事に行く前から、すでにぐったり疲れている
◻︎夜、仕事のことを考えてなかなか眠れない
◻︎患者さんや家族のつらい話を聞いたあと、家に帰っても頭から離れない
◻︎ちょっとしたことでイライラし、口調がきつくなる
◻︎「こんなに頑張っているのに報われない」とよく感じる
◻︎以前は楽しかったこと(趣味・推し活など)にも興味がわかない
◻︎仕事中、抜けるようなミスが増えてきた気がする
◻︎「自分なんて看護師に向いてない」と思うことが増えた
◻︎仕事のことを話していても、感情が追いつかず涙が出そうになる
◻︎「このまま続けたら壊れてしまいそう」とふと感じる
結果の見方
点数が出たら、次は「今どこを整える段階か」を見ていきましょう。
ここでは、点数ごとに優先したい対処を3段階でまとめました。
自分の点数のところだけ読めば大丈夫です。

- 0〜5点:軽度
疲れはたまっているものの、まだ立て直しが効きやすい段階。
→ 次の「【軽度】土台づくり」から読んでみてください。 - 6〜12点:中等度
仕事量や人間関係を、このままの形で続けるのは少し危険なライン。
→ 「【中等度】仕事量の調整」を優先して読みましょう。 - 13〜20点:重度
からだ・こころの両方がかなり消耗している状態。
→ 「【重度】休む選択」を必ず読んで、受診や休職も視野に入れてください。
おかゆ点数が高いからといって「ダメな自分」と決めつけなくて大丈夫です。
「この状態なら、ここまでケアしてあげたいな」という目安として使ってみてくださいね。
※ここから先は、あなたの点数のところだけで大丈夫です。
0〜5点→「軽度:回復の土台づくり」へ/6〜12点→「中等度:仕事量の調整」へ/13〜20点→「重度:休む選択」へ。
※このチェックは病名を判断するものではありません。
ただ、今のしんどさを「気のせい」や「甘え」で片づけないための目安にはなります。
もし、
・「消えたい」「いなくなりたい」が繰り返し浮かぶ
・出勤しようとすると涙や動悸が出て、体が動かない
・眠れない状態が続き、休んでも回復しない
といった状態があるなら、点数にかかわらず、セルフケアより先に医療機関や相談窓口につながってください。
「まだ受診までは迷う」という段階でも、まず誰かに話すところからで大丈夫です。
【軽度】まずはここから:回復の土台づくり(睡眠・食事・休息)


セルフチェックで軽度〜入口くらいだった方は、生活の土台を整えるだけでもグッとラクになる段階です。
ここでは、忙しい看護師でも現実的にできる「最低限これだけ」の整え方に絞ってまとめます。
「これだけは守りたい」睡眠時間とリズムの最低ライン
- できれば 6時間以上の睡眠 を、週の半分は確保する
- 夜勤明けの日は「長時間バク寝」ではなく、
短めの仮眠+いつもより早めに寝る リズムを意識する - ベッドに入る1時間前から、スマホ・強い光・仕事の話題から離れる
血糖スパイクを防ぐ食事のコツ(甘いもの・カフェインとの付き合い方)
※甘いもの+カフェインに偏ると、眠気・だるさ・イライラが増幅して“心の余白”が削れやすいので、共感疲労の立て直しにも影響します。
- いきなり甘いパン・お菓子だけで済ませない(眠気とだるさが悪化しやすい)
- 可能なら
「たんぱく質+主食+野菜」 の3点セットを意識する
(おにぎり+ゆで卵、カットサラダ+ヨーグルトなど簡単でOK) - 夜勤中のカフェインは「ここぞ」というタイミングだけに絞る
勤務の合間にできる「マイクロ休息」(1〜3分でリセット)
- 更衣室やトイレで、目を閉じて10回深呼吸する
- ナースステーションから少し離れた廊下で、肩回し+首回し
- お気に入りの香り(アロマシート・ハンドクリーム)をひと塗り
小さな休息でも、「ずっと全力」から抜け出すきっかけになります。
【中等度】仕事量の調整:抱えない仕組み化


「生活を整えるだけでは追いつかない」「仕事の重さそのものがつらい」と感じる場合は、
自分ひとりの工夫だけでは限界が見え始めている段階です。
ここからは、仕事量や役割そのものを見直していきます。
「自分のキャパ」を言語化する:境界線を引くための考え方
「残業〇時間を超えると、翌日ミスが増えやすい」
「◯人以上の受け持ちになると、安全確認が追いつかない」
このように、“しんどさ”を具体的な条件に言い換えると、
周囲にも相談しやすくなります。



「なんか限界…」よりも「この条件を超えると危ないです」と伝えた方が、周りも動きやすくなります。
上司・同僚への相談の伝え方テンプレ
相談するときは、「つらいです」だけよりも、仕事への影響と、お願いしたい調整をセットで伝えると話が進みやすくなります。
たとえば、こんな言い方です。
「最近、受け持ちが多い日に確認漏れが増えそうで不安です。〇人以上の日はフォローをお願いできないか相談したいです」
「新人指導と夜勤リーダーが重なると、優先順位が崩れてしまいます。どちらかの頻度を調整できないか相談したいです」
「今の状態のまま続けると、安全面に影響が出そうです。業務量の見直しができるか、一度相談させてください」
“弱音”として伝えるより、“安全に働くための相談”として言語化するのがポイントです。
業務の手放し方:「自分じゃなくてもいい仕事」を洗い出す
- 他職種に依頼できること(事務処理・物品管理など)
- 看護助手さんにお願いできる環境整備・移送
- チーム内でローテーションにできる雑務
「自分が全部やらなきゃ」から一歩離れることが、中等度からの悪化を防ぎます。
【重度】“休む選択”の考え方(受診・休職・配置転換)


「このまま続けたら危ないかも…」と感じる人向けに、
ここでは『休む』という選択肢をどう考えるかを整理します。
気合いと根性で乗り切るフェーズを超えているサインがないか、一緒に確認しましょう。
もし「消えたい」「死にたい」が繰り返し浮かぶ/出勤が怖くて体が動かない等があるなら、この記事を閉じて大丈夫。
今は回復を最優先に、身近な人・職場の産業医/上司・医療機関など“つながる”を先にしてください。
医療機関の受診を考えた方がいいサイン
- ほとんど眠れない、もしくは寝てもまったく休んだ気がしない
- 毎朝「消えてしまいたい」とまで思ってしまう
- 涙が急にあふれて止まらないことが増えた
- 仕事中に動悸・息苦しさ・めまいが頻繁に出る
これらは、心身がかなりSOSを出している状態です。
心療内科・精神科・産業医などに相談することも立派な自己管理です。
休職・配置転換を検討する前に整理しておきたいこと
- 経済面(休職中の手当・家計の状況)
- 家族の理解・サポート体制
- 今の職場で「配置転換」や「勤務形態の変更」が可能かどうか
一人で抱え込まず、
信頼できる同僚・家族・主治医と一緒に選択肢を整理していきましょう。
【すぐに相談先を確保したいとき】
ひとりで抱えたまま勤務を続けるのが危ないと感じるときは、働く人向けの相談窓口を使って大丈夫です。
厚生労働省「こころの耳電話相談」
0120-565-455
平日 17:00〜22:00
土日 10:00〜16:00
※祝日・振替休日・年末年始を除く
「まだ受診するか迷う」
「まずは今の状態を言葉にしたい」
そんな段階でも利用できます。
怒り・イライラの裏にある「共感疲労」に気づく
共感疲労は、落ち込みや無気力だけでなく、イライラや口調のきつさとして表に出ることもあります。
「また当たってしまった」と自分を責める前に、まずは疲れの流れを見てみてください。


イライラが増えているときは、性格の問題というより、心の余白がなくなっているサインかもしれません。
必要なのは自己否定ではなく、「今かなり疲れている」と気づいて、整える・相談する・休むの順で対処することです。
口調がきつくなる・当たってしまうのは“性格が悪いから”じゃない
共感疲労がたまると、
- いつもなら流せるひと言にカチンとくる
- 患者さんの訴えに「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」と内心思ってしまう
- 家族やパートナーに、職場のイライラをぶつけてしまう
といった形で「怒り」として出てくることも多いです。
これは、あなたの性格が悪いわけではなく、心の余白がなくなっているサインです。
プリセプター・指導係での消耗は「共感疲労」が関わっていることも
- 新人の気持ちに寄り添いたい
- でも、安全も守らなきゃいけない
- 上司からは「育て方」を評価される
そんな板挟みの中で、共感疲労+責任の重さで消耗しているケースも多いです。
「自分を責める」から「状態を理解する」へ
- 「私は看護師に向いてない」
- 「こんなことで疲れてるなんて情けない」
と責める代わりに、
- 「今は中等度くらいまで疲れてるんだな」
- 「共感しすぎてしんどくなってるんだな」
と状態をラベリングしてあげることが、回復への第一歩になります。
ぶり返さないための予防(共感の境界線/感情の持ち帰りを減らす)


一度立て直しても、同じ働き方・同じ抱え込み方に戻ると、共感疲労や燃え尽きはぶり返しやすくなります。
ここからは、「ぶり返しにくくするための予防編」です。
患者さんのつらさに“全部”共感しないための境界線の引き方
- 「患者さんの人生そのもの」までは背負わないと決める
- 「今、この瞬間にできる最善」にだけ集中する
- 患者さんの苦しみ=自分の責任、と結びつけすぎない



“全部背負う”よりも、“半歩後ろから支える”くらいの距離感でも、十分寄り添えています。
仕事の感情を家に持ち帰らないミニ習慣
- 更衣室で「今日いちばん頑張ったこと」を1つだけ心の中で唱える
→ 「〇〇さんの不安を少し減らせた」「インシデントを防げた」など - 帰り道の電車では、仕事の振り返りをあえてしない時間を作る
(推し・旅行・趣味・ごはんのことなど) - 家に帰ったら、まずはシャワーや着替えで「仕事モード」を脱ぎ捨てる
日常でできる「心のバッテリー充電」リストを作っておく
- 5分でできる:温かい飲み物をゆっくり飲む、ストレッチ、推しの動画1本
- 30分でできる:カフェでぼーっとする、散歩、好きな音楽を聴く
- 半日〜1日でできる:友だちと会う、小旅行、趣味に没頭する



「何をしたら回復するか」をあらかじめリストにしておくと、オフの日に“なんとなくSNSで終わる”のを防ぎやすくなります。
Q&A


まとめ:あなたのせいじゃない、立て直せる


最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 看護師は共感力が強い人ほど、共感疲労・燃え尽きに陥りやすい仕事
- セルフチェックで、今の状態(軽度/中等度/重度)を可視化するだけでも
「ちゃんとしんどがっていいんだ」と思いやすくなる - 軽度なら生活の土台づくり
中等度なら仕事量・人間関係の調整
重度なら“休む選択”や受診を検討することが、すべて「甘え」ではなく必要なケア



しんどくなるまで頑張ってしまうのは、
「手を抜けない」「目の前の人を守りたい」という、看護師としてのまっすぐさの裏返しです。
あなたのせいじゃないし、今からでも立て直せます。
今の職場が合わないかも…と感じたとき
共感疲労・燃え尽きが進んでいる背景には、
- 人員配置や業務量がどう考えても多すぎる
- 文化や人間関係が、自分と合っていない
- 「安全に働けるイメージ」が持てない
といった職場環境そのものの問題があることも少なくありません。



どれだけセルフケアをしても、「この病棟の条件ではもう無理かも…」というケースもあります。
そんなときは、働き方や職場を変える選択肢も一度考えて大丈夫です。




