「オペ看、覚えられない…」のは当たり前|つらい時期の抜け出し方とメンタルの保ち方

「覚えることが多すぎて、ついていけない…」

「先輩はできているのに、自分だけ覚えられない。向いてないのかな」

オペ室に配属されたばかりの頃、そう感じて落ち込む人はとても多いです。

でも、先に伝えたいことがあります。
オペ看が「覚えられない」と感じるのは、当たり前のことです。

この記事では、なぜそう感じるのかと、つらい時期の抜け出し方・気持ちの保ち方を、
現役目線でお伝えします。

この記事でわかること
  • 「覚えられない」のは当たり前な理由
  • 「覚えられない=向いてない」ではない理由
  • 焦りとつらさをやわらげる考え方
  • 覚える負担を減らす最小限のコツ
  • それでもしんどいときの選択肢
目次

結論|オペ看が「覚えられない」のは、あなたのせいじゃない

「オペ看、覚えられない」のは当たり前と伝える手術室のイメージ

まず知ってほしいのは、覚えられないのはあなたの能力不足ではない、ということです。

オペ看は、ほかの部署とくらべて覚える量も特殊さも段違いです。

最初からスラスラできる人は、ほとんどいません。

焦って自分を責めるほど、よけいに頭に入らなくなります。

まずは「できなくて当然」と受け止めるところから始めましょう。

今つらいと感じているのは、
それだけ真剣に向き合っている証拠です。
この記事では、そのつらさを軽くする具体的な方法をお伝えします。

なぜオペ看は「覚えられない」と感じるのか|5つの理由

オペ看が覚えられないと感じる5つの理由
  • 情報量が膨大:解剖・術式・器械・薬剤・機器…一度に覚えることが多すぎる
  • 診療科・術式の種類が多い:科ごとに流れも器械も違い、応用が利きにくい
  • 器械の名前が無数にある:似た形・似た名前が多く、混乱しやすい
  • 短期間で実践を求められる:覚える前に本番が来て、復習が追いつかない
  • 緊張で実力が出せない:張り詰めた空気で、本来の力を発揮しにくい

情報量が、とにかく膨大

解剖・術式・器械・薬剤・機器と、覚える範囲が一気に広がります。

一度にすべては入りきらないので、最初は戸惑って当然です。

焦らず、よく使うものから順に覚えていけば大丈夫です。

覚える前に、本番が来る

数回見ただけで「次は一人で」と任されることも珍しくありません。

復習が追いつかないまま実践が続くので、焦りやすい環境です。

覚えていないのは力不足ではなく、
時間が足りていないだけのこともよくあります。

器械の名前は、形も響きも似ていて当然混乱する

たとえばペアン・コッヘル・モスキートは、どれも似た形の鉗子です。

メッツェンバウムとクーパーも、慣れるまで見分けがつきません。

名前の由来もバラバラで、丸暗記しようとすると余計に混乱します。

同じ器械でも、医師や病院によって呼び方が変わることもあります。

「覚えたのに通じない」のは、あなたの記憶力のせいではありません。

診療科が変わるたび、ゼロからやり直しに感じる

整形外科の人工関節、消化器外科の腹腔鏡、心臓血管外科の開胸——
診療科が変われば、術式も器械も流れもまるで別物になります。

一つの科に慣れても、ローテーションでまた一からのスタートです。

「前の科で覚えたことが活かせない」と感じるのは当然です。

裏を返せば、それだけ幅広い知識を積み上げている証でもあります。

緊張で、覚えたはずのことが飛んでしまう

出血で術野が慌ただしくなったり、執刀医の声が飛んだり——
張り詰めた空気のなかでは、頭が真っ白になりやすいものです。

家では言えた器械名が、本番で出てこないのもよくあります。

緊張しなくなるのではなく、緊張に慣れていくものです。

経験を重ねるうちに、少しずつ落ち着いて動けるようになります。

これだけ条件が重なれば、すぐに覚えられないのはむしろ自然なことです。

看護師

器械出しで頭が真っ白になって、メッツェンを渡せず固まったことがありました。
でも“できなかった日”を1個ずつ減らしていったら、いつの間にか回せるようになっていました。

「覚えられない=向いてない」ではない理由

覚えられない=向いてないではないと伝えるイメージ

覚えられない時期があると、「自分はオペ看に向いてないのでは」と不安になりますよね。

でも、それは時間の問題であって、適性の問題ではないことがほとんどです。

  • 今できている先輩も、最初は同じように覚えられず悩んでいた
  • オペ看の知識は積み重ね型。時間をかければ誰でも身につく
  • 「できない」と落ち込めるのは、まじめに向き合っている証拠

実際に伸びていく人には、ある共通点があります。

センスではなく、つまずきを放置せず一つずつ潰してきた人です。

「今日できなかった器械を、帰りに一つ調べる」——
その小さな積み重ねが、半年後・1年後に大きな差になります。

器用さよりも、続けられたかどうかのほうがずっと大切です。

看護師

1年目は毎日のように”覚えられない自分”に落ち込んでました。
でも2年目あたりから急に視界が開けたんです。
あの頃の自分に”大丈夫”と言ってあげたい。

いつ覚えられるようになる?成長の目安タイムライン

オペ看が覚えられるようになる成長の目安

「いつになったら覚えられるの?」という不安には、
だいたいの目安があります。

あくまで目安ですが、次のように進む人が多いです。

時期状態の目安気持ちの持ち方
入職〜1ヶ月何が分からないかも分からないできなくて当然。メモを取るだけで十分
〜3ヶ月器械や流れに少し見覚えが出る「1個できた」を数える
〜半年担当術式の流れがつかめてくる焦らず得意な術式を増やす
1年基本の器械出しが回せる大きな山は越えている
2〜3年応用・緊急にも対応できる教える側へ回り始める

目安より早くても遅くても、気にしすぎなくて大丈夫です。

焦りとつらさをやわらげる4つの考え方

焦りとつらさをやわらげる4つの考え方

完璧を目指さない

最初から100点を取れる人はいません。

「昨日より1個できた」で十分だと考えるだけで、
気持ちはぐっと軽くなります。

新人のうちは、先輩に確認しながら進めて大丈夫です。
むしろ、わからないことを確認できる人ほど伸びていきます。

人と比べない

成長のスピードは、人によって本当にバラバラです。

先に伸びる人もいれば、あとから一気に伸びる人もいます。

比べるほど苦しくなるので、見るのは「昨日の自分」だけにしましょう。

「今日の1個」に絞る

全部を一度に覚えようとすると、かえって続きません。

「今日はこれだけ」と1つに絞ると、ぐっと取り組みやすくなります。

たとえば「今日は鉗子の名前だけ」と決めれば、
覚えるハードルは一気に下がります。

できたことに目を向ける

できなかったことは、つい何度も思い返してしまうものです。

だからこそ、意識して「できたこと」を数える習慣が効いてきます。

たとえば一日の終わりに、「今日できた1個」を口に出してみてください。

「吸引の準備がスムーズだった」など、どんな小さなことでも構いません。

考え方を少し変えるだけで、同じ状況でも気持ちはずいぶんラクになります。

看護師

“今日できた1個”を数えるようにしたら、
不思議と気持ちがラクになって、続けられるようになりました。

覚えられないときに、やりがちなNG

よかれと思ってやっていることが、
かえって逆効果になることもあります。
次の3つは、ありがちだけれど避けたいパターンです。

一度に全部を覚えようとする

全部を完璧に覚えようとすると、どれも中途半端になりがちです。
まずは担当する手術に範囲を絞るほうが、
結局は早く身につきます。

わからないまま、流してしまう

「今さら聞けない」と曖昧なままにすると、
同じつまずきを繰り返しがちです。
その場で確認する人ほど、結果的に早く覚えていきます。

家で長時間、詰め込もうとする

家で何時間も机に向かっても、
疲れて続かないことが多いものです。
それより、手術の前後に5分見直すほうが記憶に残ります。

覚える負担を減らす「最小限」のコツ

覚える負担を減らす予習のコツ

やみくもに全部覚えようとすると、かえって続きません。

負担を減らす最小限の工夫だけ押さえましょう。

担当する術式だけ予習する

すべてを覚えようとせず、
明日の手術に関係する範囲だけに絞ります。

範囲を狭めるだけで、予習のハードルはぐっと下がります。

たとえば予習なら、ノートに全部書く必要はありません。

「明日の術式名・使う器械3〜5個・渡す順番」をメモするだけです。

手術の前にさっと見返すだけで、当日の動きが変わります。

メモは、その日のうちに振り返る

手術中に取ったメモは、記憶が新しいうちに整理しましょう。

時間が経つほど、思い出すのは難しくなるものです。

実物や写真とセットでメモしておくと、あとで思い出しやすくなります。

1個ずつ、できることを増やす

今日は器械の名前、明日は手術の流れ、と分けて取り組みます。

小さく区切るほど、一つひとつが記憶に定着しやすいです。

具体的な覚え方は、1年目が最初に覚えること器械出しが苦手なオペ看へで整理できます。

参考書から入りたい人は手術看護のおすすめ本・参考書もどうぞ。

「また聞くの…」と思わず、先輩に頼るコツ

覚えられないとき、もう一つの壁が「先輩に聞きづらい」ことです。
でも、聞き方を少し工夫するだけで、ぐっとラクになります。

メモを見せながら確認する

口頭だけで聞くより、
自分のメモを見せて確認するのがおすすめです。
「ここまで合っていますか?」と聞けば、先輩も答えやすくなります。

「次に確認したい」と前もって伝える

「次の同じ手術で、もう一度確認させてください」
と前もって予告しておきます。
そう伝えておくと、同じことを聞いても気まずくなりません。

教わったら、その場で復唱する

教えてもらったことは、その場で声に出して復唱しましょう。
「○○を先に渡す、ですね」と返すだけで、
記憶への残り方が変わります。

ちょっとした聞き方の工夫で、
覚えるスピードも気持ちのラクさも、ぐっと変わるはずです。

それでも「しんどい」が消えないときは

覚えられないつらさに、緊張や人間関係が重なると、心が限界に近づくこともあります。

「怖くて頭に入らない」なら手術室が怖いと感じる人へを、環境がつらいなら、
教育体制の整った職場に変えるのも前向きな選択です。

「覚えられない」の原因が、自分ではなく職場の教え方や雰囲気にあることも少なくありません。

環境を変えることは、逃げではなく、自分を守る大切な選択です。

よくある質問

オペ看が覚えられないことのよくある質問
忙しくて、復習や勉強の時間が取れません。

まとまった時間は必要ありません。
担当する手術の前後に、関係するところだけ5分見る・メモを読み返すだけでも十分です。
少しずつの積み重ねが、いちばん続きます。

覚えられなくて毎日落ち込みます。向いていないのでしょうか?

落ち込むのは、まじめに向き合っている証拠です。
覚えられないのは適性ではなく、たいていは時間と慣れの問題です。
半年・1年と続けるうちに、見える景色は少しずつ変わっていきます。

どうしても器械の名前が覚えられません。コツはありますか?

一度に全部ではなく、担当する手術で使う器械だけに絞ると覚えやすくなります。
実物・写真・メモをセットにして、その日のうちに振り返るのが効果的です。

先輩が怖くて、緊張で覚えたことも飛んでしまいます。

緊張で頭が真っ白になるのは自然な反応です。人間関係や指導のきつさが原因なら、
自分を責める必要はありません。環境を見直すことで、
落ち着いて覚えられるようになる場合もあります。

メモを取るのが追いつきません。どうすればいいですか?

全部書こうとせず、キーワードだけで十分です。
あとで思い出せる単語を残し、
手術後に整理し直すと負担が減ります。

まとめ|「覚えられない」は、成長の途中にいるサイン

覚えられないのは成長の途中にいるサイン

覚えられなくても、大丈夫

オペ看が「覚えられない」と感じるのは、当たり前のことです。
情報量が多く、特殊で、短期間で実践が来る——条件がそろえば、誰だって最初はそうなります。
完璧を目指さず「今日の1個」を積み重ねれば、必ず景色は変わります。

オペ看が覚えられないのは、能力不足のせいではありません。

覚える量が多く、特殊さもあるからこそ、
時間がかかって当然です。

「覚えられない=向いてない」ではなく、たいていは時間の問題です。
完璧を目指さず「今日の1個」に絞れば、
気持ちは少しずつラクになります。

つらさが消えないときは、職場の環境を見直すのも一つの手です。

一人で抱えこまず、自分のペースで一歩ずつ進んでいきましょう。

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この記事を書いた人

大学病院の手術室で10年以上。移植・心臓・ロボット手術まで、幅広い現場を経験してきました。転職を経て気づいたのは「職場が変わるだけで、働き方はまったく変わる」ということ。今の職場でいいのかと迷っている看護師に向けて書いています。

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