「勉強しなきゃいけないのは分かってる。
でも、何から手をつければいいか分からない」
新人オペ看の悩みで、一番多いのがこれだと思います。
覚えることが多すぎて、全部やろうとして、続かなくなる——定番の挫折コースです。
この記事では、10年以上オペ室で働いてきた私が、
「何から・いつ・どうやって」勉強するかを、
続けられるやり方に絞って紹介します。
結論|勉強は「明日の手術」から逆算する

新人オペ看の勉強でいちばん大事な原則は、これだけです。
- 範囲は「明日の手術」だけ:教科書を頭から読まない
- 学んだことは1冊のノートに集める:あとから引けるように
- 完璧より継続:5分×毎日が、休日の詰め込みに勝つ
「全範囲をコツコツ」は学生時代の勉強法。
現場の勉強は、明日使うことから逆算するのが正解です。
何から始める?勉強の優先順位

やることはたくさんありますが、順番はシンプルです。
① 明日入る手術の「流れと器械」
最優先はこれです。明日の自分を助ける勉強が、いちばん身になります。
術式の予習のやり方は、こちらで詳しく解説しています。
② 担当科でよく出る解剖
解剖の勉強も「全身くまなく」は不要です。
自分の担当科の手術でよく出る部位だけ、術式とセットで覚えます。
整形なら膝・股関節、消化器なら胃・腸・胆嚢、という具合です。
③ 略語・現場の言葉
会話が分からないと、勉強した知識も現場で使えません。
聞き取れなかった言葉をメモして、意味をつぶしていきましょう。
よく飛び交う言葉は、こちらの用語集にまとめてあります。
▶ 手術室の略語・用語集|オペ室で飛び交う言葉を新人向けに解説
④ 外回りの流れ(入室〜覚醒)
勉強はつい器械出しに偏りがちですが、外回りも並行して覚えます。
入室→麻酔導入→体位固定→執刀→覚醒→退室、という流れを軸に、
「いま麻酔科医が何をしているか」を意識すると吸収が速いです。
外回りの一番の教科書は、先輩の動きです。
入室からの10分間、先輩が「何を・どの順番で」やっているかをメモすると、
どの本よりも実践的な教材になります。
おかゆ私は最初、参考書を1ページ目から読もうとして挫折しました。
「明日の手術のところだけ」に変えてから、勉強が現場とつながったんです。
時期別|勉強のテーマは変わっていく


「1年目の終わりまでに何ができていればいいのか」が見えないと、
永遠に追い立てられている気分になります。
ざっくりした目安を持っておきましょう。
| 時期 | 勉強のテーマ |
|---|---|
| 入職〜 3か月 | 流れを追える 定番術式の順番・器械の名前・現場の言葉 |
| 3〜6か月 | 「なぜ」とつながる 解剖と手技の理由づけ、合併症の知識 |
| 6か月〜 1年 | 先読みして動く 執刀医のクセ、次の展開の予測 |
| 1年〜 | 教えられる形にする 後輩に説明できるようノートを整理 |
大事なのは、自分のフェーズより先の勉強に焦って手を出さないこと。
「流れ」の前に「なぜ」を積んでも、土台がないので残りません。
続けられる勉強時間の作り方


新人の毎日は、勉強時間を「作る」余裕なんてないのが現実。
だからこそ、スキマに埋め込むのがコツです。
前日の夜か朝に「5分だけ予習」
明日の手術予定を見て、術式・器械・流れをざっと確認するだけ。
5分でも「初見じゃない」状態で入れると、当日の吸収が全く違います。
5分の中身は、この順番で見ます。
- 手術予定表で「術式・執刀医・自分の役割」を確認
- 自分のノートに同じ術式のページがあれば読み返す
- 初めての術式なら、本で「流れ」だけ確認
- 余裕があれば器械リストをざっと眺める
手術が終わったら「3行だけ振り返り」
①今日できたこと ②つまずいたこと ③次に確認すること。
この3行をその日のうちにメモします。
記憶が新しいうちの3行は、翌週の30分に匹敵します。
きょうの3行(記入例)
① ラパコレの器械出し、渡しでは止まらなかった
② 気腹チューブの接続で手が止まった
③ 明日、接続の順番を先輩に確認する
家では詰め込まない。寝るのも仕事
帰宅後に長時間机に向かうのは、続かないうえに翌日に響きます。
疲れた頭に詰め込むより、しっかり寝て現場で吸収する方が効率的。
「家では5分の予習だけ」と割り切って大丈夫です。
夜勤やオンコールで睡眠が乱れがちな人は、こちらも参考にしてください。
▶ 看護師が眠れない・夜勤明けに寝れない|睡眠を根本から整える方法
オペ看ノートの作り方|「1術式1ページ」


勉強した内容は、1冊のノートに集めます。
おすすめの型は「1術式1ページ」。書くことは決まっています。
- 術式名と流れ:始まりから閉創までをざっくり
- 使う器械:正式名称と「うちの呼び名」を並べて
- 執刀医のクセ:好みの器械・糸・進め方
- 先輩の一言:教わったコツをそのまま書く
- 自分のつまずき:次に確認したいこと
たとえば整形外科のTKA(人工膝関節置換術)なら、こんなページになります。
記入例|TKAのページ
流れ:仰臥位・ターニケット → 展開 → 骨切り
→ トライアル → インプラント設置 → 洗浄 → 閉創
器械:TKAセット+パワーツール(うちでは「ソー」と呼ぶ)
医師のクセ:A先生は閉創前にもう一度洗浄を欲しがる
先輩の一言:「トライアルのサイズは声に出して復唱」
つまずき:骨切りガイドの組み立てに迷った → 次回までに組立の順番を確認
同じ術式に次に入るときは、このページを5分見返すだけで予習完了です。
器械のページの作り方は、こちらでも詳しく書いています。
▶ 手術器械の覚え方|コッヘル・ペアン・ケリーの見分け方と覚えるコツ



毎晩ノートに書いて、翌朝には半分忘れてました。
それでも書き続けたノートは、2年目に後輩へ教えるときの台本になりました。
ノートは「きれいさ」より「引けること」
色ペンで清書し直す必要はありません。
殴り書きでも、術式ごとにページが分かれていれば立派なデータベースです。
明日の自分が5分で引ければ、それで合格です。
やりがちなNG勉強法


まじめな人ほどハマりやすい落とし穴を3つ挙げておきます。
「あとでまとめよう」と溜め込む
メモを週末にまとめ直す計画は、ほぼ確実に破綻します。
その日の3行だけ、その日のうちに。
溜めないのが唯一のコツです。



「休みの日にまとめてやろう」作戦、私は3回くらい挫折しました。
結局いちばん続いたのは、その日の殴り書き3行でした。
全術式を一気に網羅しようとする
担当予定のない術式まで先回りしても、使わない知識は消えていきます。
「入る手術から1個ずつ」で、1年後にはちゃんと網羅されています。
調べて満足して、現場で使わない
読んだだけの知識は、緊張した術野では出てきません。
覚えた器械名は渡すときに心の中で唱える、調べた流れは翌日の手術で照らし合わせる——
「使う」ところまでが勉強です。
本は「読む」より「引く」|参考書の使い方


参考書は通読するものではなく、明日の術式のところだけ引くもの。
1冊を決めて、ノートとセットで使い倒すのがおすすめです。
ノート作りと相性がいいのは、書き込みながら自分のノートを完成させていくこの1冊です。
そのほかの本は、レベル別に9冊を厳選して紹介しています。
▶ 手術看護のおすすめ本・参考書9選|器械出し・外回り・麻酔まで
先輩への「聞き方」も勉強のうち


調べても分からないことは、先輩に聞くのが最短です。
そのとき、ノートを見せながら「ここまでは調べました」と聞くと、
先輩は続きから教えられるので、答えの質が上がります。
「また聞くの…」と気が引けるときの頼り方は、こちらにまとめています。
▶ 「オペ看、覚えられない…」のは当たり前|つらい時期の抜け出し方
新人オペ看の勉強法でよくある質問


まとめ|「明日の5分」が1年後の自分を作る


- 勉強の範囲は「明日の手術」から逆算する
- 前日5分の予習+術後3行の振り返り
- ノートは「1術式1ページ」で、引ける形に
- 本は通読せず、明日のところだけ引く
- 家では詰め込まない。寝るのも仕事
1日5分でも、1年続ければ30時間ぶんの「現場に直結した勉強」になります。
まずは今夜、この3つだけやってみてください。
- 明日の手術予定表を見る(1分)
- ノートに明日の術式のページを1枚作る(3分)
- 今日の3行を書いて、寝る(1分)
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